2020年02月15日

保存継承グループ  桜井市:笠山荒神社の「初荒神」見学記

桜井市北部の笠地区の鷲峯山(じゅぶさん)に鎮座する笠山荒神社で1月28日に初荒神(新春荒神大祭)が執り行われ、グループ有志で見学しました。

荒神とは、仏教や修験道の三宝(仏・法・僧)を守護する三宝荒神信仰と、中世の神仏習合の流れで生まれた火の神や竈(かまど)の神を意味する荒神信仰が結びついたものとされています。笠山荒神社は笠山荒神、または笠荒神とも呼ばれ、日本三荒神=他の2カ所は野迫川村の立里(たてり)荒神、兵庫県宝塚市の清(きよし)荒神=の第一の荒神社ということです。

大祭は1月、4月、9月のそれぞれ28日の年3回行われますが、このうち1月は初荒神と呼ばれ、近隣府県からも参拝者が集まります。当日は雨も心配されましたが、風がやや強めだったものの青空が広がる好天に恵まれました。
JR・近鉄桜井駅北口から臨時バスを利用、約40分で「笠そば処」駐車場の臨時停留所に到着。北参道入口の鳥居をくぐって境内に進みました。

20200215_01.JPG
<北参道の鳥居近くに掲示されている説明板>

「平成19年」と刻まれた狛犬に迎えられ、きれいに掃き清められた参道を神社に向かいます。両側に並ぶ各地の信者から奉納された石灯籠には電球に灯が入り、この日の大祭を祝しているかのようです。
しばらく進むと神社拝殿前ですが、大祭ではふもとの竹林寺から本殿まで上りの石段をお神輿が渡御することになっていますので、石段を下って同寺に向かいます。表参道の鳥居をいったん出て100bほど進むと竹林寺です。

20200215_02.JPG
<竹林寺近くにある表参道の鳥居>

20200215_03.JPG
<竹林寺収蔵庫で初荒神に合わせて公開された重文の薬師如来立像>

江戸時代までは笠寺と言われ、今より大きなお寺だったそうです。荒神社は明治初めの神仏分離令で神社が今の場所に遷座するまでは、こちらに祀られていたそうです。
『笠荒神鷲峯山竹林寺来由記』には、持統天皇の時代に役小角(えんのおづぬ)が笠山に荒神を祀ったこと、東大寺の無事建立を良弁僧正が祈願し荒神の像を板に描いて寺に留め置いたこと、その荒神板絵を見て弘法大師空海が木像を刻み笠山に安置したことが伝わります。現在は本堂内の厨子に「荒神板絵像」が祀られており、大祭の時には神霊が神輿で神社まで渡御されます。

20200215_04.JPG
<竹林寺を出発する神輿>

竹林寺本堂から神輿が4人で担がれて出発するのを拝見した後、本堂で本尊の十一面観音立像など、収蔵庫で薬師如来立像(重文、平安時代作)などを拝観しました。神社に戻る前に表参道入口近くに祀られている閼伽井不動を参拝。説明板によりますと、空海が高野山を開く前、ここの閼伽井の池で21日間の水行を修め、石像の不動明王を祀り、無事高野山を開いたとあります。

20200215_05.JPG
<空海ゆかりの閼伽井の池(手前)と閼伽井不動>

20200215_06.JPG
<拝殿前に到着した神輿と参拝の人々>

その後、神輿が拝殿前に到着し神事が行われました。背後の本殿では土祖神(つちのみおやのかみ)など3柱が祀られていて、神輿は拝殿の祭壇の後方、本殿との間に安置されました。参拝者は拝殿前で祝詞に聞き入り、神楽を拝見し、神事は1時間ほどで終わりました。
その間、参拝者に恒例の甘酒が振る舞われ、ポットに入った甘酒も販売されていました。境内では同じく見学に来ておられる「奈良まほろばソムリエの会」の方々にもお会いしました。

20200215_07.JPG
<多くの参拝者たちが境内を埋めた>

20200215_08.JPG
<甘酒の振る舞いや販売が行われた境内の参集所>

昼食は境内を出て笠そば処でお蕎麦などを頂きました。地元の人たちから「笠荒神、竹林寺、笠そば処それぞれを大切にして、地区を守り、存続を目指している」と聞いて感動しました。
初秋にソバの花が畑一面に咲いている写真を見て、次回はその“お花畑”を見に来たいと思いつつ、帰りも臨時バスで桜井駅へ向かいました。

保存継承グループ  文:田嶋ひろ子、写真:久門たつお


posted by 奈良まほろばソムリエ at 10:00| Comment(0) | 保存G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月09日

保山耕一さん 第8回「奈良、時の雫」上映会

令和2年2月1日(土)、保山耕一さん月イチ上映会・テーマ「大和の冬」が、奈良公園バスターミナルで開催されました。新型肺炎の影響で、奈良公園も歩く人はまばら。外国人観光客がまだ少なかった頃の静かな冬の奈良を思い出し、そんな中の開催でした。

まずは、月イチ上映会支配人をさせられている(笑)という清水真貴さんが、満席の会場を見て、涙ぐみそうになって「こんなご時世の中、たくさんの方に来ていただいて本当にありがとうございます!皆さんの大きな気持ちが上映会を支えています。」とご挨拶。

続いて、当会理事の松森重博さんが、最近の保山さんのYou tube・水仙の映像を見て詠んだ一首。「水仙が 水のしずくに 映りたり 奈良般若寺の 大寒の頃」を披露されました。松森さんの歌集『大和まほろば』は今やベストセラーになっていて、今回から松森さんの短歌のコーナーも始まりました。

20200209_01.JPG

次は、恒例の竹田奈良公園室長の奈良公園ワンポイント講座。今月はもうすぐ開催される「しあわせ回廊・なら瑠璃絵」でした。

20200209_02.JPG

そして、今回の「奈良百寺巡礼」は、王龍寺!
飯野顕志副住職と当会副理事長の小野哲朗さんのご対談。まずは映像から。

―   映像   王龍寺  ―

20200209_03.JPG

小野さんは「二名から西の丘を登るとゴルフ場、その先に山門があって、その前に『葷酒(くんしゅ)山門に入らず」(匂いの強い物を食べた人やお酒を飲んだ人はここから先に入ってはいけません)と石に書いてあるんです。そして鬱蒼とした森、しかしそこを過ぎて青空を見上げると心が大きく感じます。苔むした石畳や石段、前掛けのお地蔵様など、自然を楽しみながら歩くと本堂の甍が見えて来るんです。」とおっしゃっていました。

また「王龍寺の魅力はね、住職さんが毎朝境内の植物や花の芽吹きを撮影してHPに載せてくれているんですよ」「一番すごいと思ったのは、本堂まで上がると樹齢300年以上のヤマモモの大木(奈良県の保護樹木・奈良市の文化財)があって、今も元気に葉っぱを出しておるんです。」等々お話されました。

そして、飯野副住職は、ご本尊の石仏(摩崖仏でこちらは年紀がわかる石仏としてたいへん貴重)の十一面観音菩薩様(南北朝・建武3年)や十八羅漢さんのこと、聖武天皇の勅願による古刹、江戸時代に禅宗黄檗宗になったことなどを歴史と共に説明して下さいました。

また、王龍寺では、毎月第3日曜 早朝7時〜8時に座禅が行われています。
(こちらは座禅のスペースに限りがあるので、HPから予約して下さいとのこと)
副住職は「夏は本堂の羅漢さんの前で、冬は座敷で行います。わざわざしんどいことをするのではなく、座禅は座禅で楽しむかたちでするといいのかな」と温かくおっしゃっていました。

それから、実は王龍寺のレプリカが近鉄奈良駅5階のクラブツーリズムにあるんですよ。副住職は「実物の方がいいと思います。オーラが違いますよ(笑)」と。(そりゃそうですよね。でも一度見られるのもお薦めされていました。)

そして、ガラリと変わって

―   映像   奈良には365の季節がある   ―

いきなり 雷!流れる雲!細く美しい有明の月!鐘の音!……01 02 03 04 05……次々に映り変わる奈良の素晴らしい景色が、刻一刻と刻まれ、ビートの効いた音楽や「ラセラー ラセラー ラセ ラセ ラセラー!」の掛け声などとともに心に響き渡ります。

思わずじっと見入ってしまい、息をするのも忘れてしまうくらい!
そして寧鼓座座長・浅野重兵衛さんの和太鼓、生演奏!こちらの連打も迫力満点でした。

なんとも贅沢で貴重なひとときで、会場の皆さんは釘付けになっておられました。(保山さんの映像をもう一度見たい!行けなかったから見てみたい!という方、保山さんはYou tubeで発信してくれています)

そしてここからは、ならどっとFM「岡本彰夫の奈良 奥の奥」の公開収録。

20200209_04.JPG

今回のゲストは、吉野杉の木でギター等を作って活動されている丸山手工ギター工房の丸山利仁さん、そのギターで演奏される稲川雅之さん。トークあり、演奏あり。地産地消の素敵な音色に魅了されました。

20200209_05.JPG

そして、春日大社元権宮司の岡本先生が今回対談されたのは、吉野・金峯山寺の田中利典(りてん)長臈(ちょうろう)。初めに、田中長臈の発案で「疫病退散」のために会場内300名の皆さんで般若心経を唱えました。

その後、金峯山寺護摩焚き映像30分の間、お二人の「神と仏」のたいへん興味深いお話がありました。岡本先生は「私らとても仲がいいんですよ!」と会場の笑いを誘っておられました。詳しくは、ならどっとFM「岡本彰夫の奈良 奥の奥」をぜひお楽しみ下さい。


〈  二 部     保山さんの映像 と その解説   〉

20200209_06.JPG

まずは、保山さん「映像が負けてるって思うくらい素晴らしい」と作曲家でピアニストの加古隆さんのことを絶賛されます。

「こういう強い曲があるからこそ、カメラマンは『よし、負けないぞ!』って映像を撮るんです。」「カメラマンにとって、音楽ってそういうものなんです。『あの曲に負けないもっと強いメッセージでその曲と響き合えたらすごいやろなぁ!』って自分の中でワクワクするんです。でもなかなかうまくいかなくて…」

「優秀な作曲家ほど、カメラマンを挑発します。なんとかギリギリにバランスが取れた時、カメラマンにはこれ以上の喜びはないんです」とおっしゃっていました。

―  宇陀 竜王ヶ淵の雪景色  ピアノ:加古隆さん、歌:森麻希さん ―

「こういう映像見たら、『寒くてたいへんやったん違いますか?』ってよく言われるんですが…あのガンという病気をしてから、何が変わったかって『こんな寒い中で、撮影できるってどれだけ幸せか』って思うんです。」と…。

「それまでは寒い暑いに不満を持っていたけれど、暑い時に汗流して『暑い暑い』って言いながら撮影できることがどれだけ幸せかって思います。」「入院が長くて、東京の病院だったんですが、景色がすごくきれいでした。」

「東京タワーやディズニーランド、お台場のベイブリッジが窓から見れるところで入院していました。どんどん季節が変わって、夏の入道雲、公園の木々が紅葉して、そしてだんだん散っていく…。すごく大きな窓があるんですが、5cmしか開かない、それは自殺をしないようにということで…。そういうところで、何か月もの入院でした。きれいな景色でした。」

「病院の中って、空調が効いているので暑くも寒くもなくて、でも景色が変わっていく。
夏なのに暑くない。冬なのに寒くない。で、そういう時にどうしたのかって言うと…
そのちっちゃな隙間から、手を伸ばして風を感じるんです。そういう経験を一度すると本当にその季節の中で自分がこうやって生きててやりたいことやれて、どれだけ特別なことかって今、かみしめています。」

「退院した時に、いつも窓の向こうに見ていた公園を初めて歩いてみたんです。そこは、一面に落ち葉が敷き詰められていて、ザッザッザッザッって音を立てて。その音が一生忘れられなくて、『生きてるな』って実感した音でした。」と…。

そして保山さんがその時に、ふと思われたのが「お金持ちになりたいとか自分の幸せのことではなくて、死ぬまでにピアノが弾きたいな」って(保山さんピアノは初めてらしいです)。そしてピアノを教えてもらったのが「かおりん」ことすみかおりさんでした。

「今日は水仙の映像をやります。今週、ならナビ『やまとの季節 七十二候』を見た人いらっしゃいますか? わぁそんなにいてはるんや! メチャ嬉しいですわ。」っておっしゃって、ならナビ1分30秒のフルバージョンを見せて下さることに。

「朝イチから日の暮れる真っ暗な時までそこにいる。そんな撮影をしています。」
「でもね、ある程度その場所にいたら『おまえ、これ撮らんでええんか?』って言うてくるんですよ」って。

「で、そんな時にレンズを向けたら『あーお前が見てもらいたいのはこれか!』というふうに。その時初めて風景と話ができるんです。風景も人のつきあいも一緒です。」と。

― 映像  田原本町 寺川の水仙(フルバージョン、すみかおりさんの演奏)―

20200209_07.JPG

「僕が入院していたのは、東京有明の一番大きなガンの病院、末期ガンの人ばかりです」7月大きな七夕飾りの短冊にすごい数の願い事がつるされるそうです。

「初めてそれを見た時にいくつか読んで見たんですけど、つらくて…。その中にあるお母さんのがあって『私が死んでもパパと○○ちゃんが仲良く過ごせますように』って。
余命宣告されたお母さんでしょうが、病気が治りますようになんて書いてあるのはほとんどないんです。みんな自分のことじゃなくて自分以外の人を願うことばかり。結局最後には、大切な人、家族や友達の幸せを祈ることしかなくて。それが忘れられなくて、ずっとあります。」とおっしゃっていました。

退院して、帰って来た時も、毎日春日大社に通ったそうで、その時も自分の願い事をしようと思ったのではなかったそうです。でもそこである気づきが・・・

保山さん「自分よりも他の人のことを思う気持ちで生きてきたからこそ、自分の置かれている環境がどんどん変わっていって、それが心と体に反映して自分の命を与えられたのかなぁ」と。「自分は何のために生きているのかっていうその根元!人のために生きている!ていう気づきがあったんです。」と話してくれました。

春日大社では、1月31日より毎朝9時から新型肺炎の御祈祷を始められました。「なんか科学では説明できないことが世の中にはたくさんあって。仏教も同じで、先ほど般若心経を皆で唱えることによって、何も変わらないはずがない、何か絶対変わっていく。」そう言われていました。

また、夜中、雪が降って朝イチで飛火野へ行った時の話。
飛火野が一面真っ白で、撮ろうと思ったら、有名アーティストのヒップホップのメンバー達が真冬というのに半ズボンを履いてワイワイとやって来て・・・

保山さんいわく「『申し訳ないけど、5分だけ僕に時間を下さい』って言ったら、
ヒップホップのメンバーの一人が『この真っ白な空間に足跡を残せるのって、奈良では鹿だけだよね!』なんて、かっこええこと言うたんです(笑)」と。

その上、彼らは飛火野の真ん中を歩かずに、ずーっと端っこを通って帰っていったそうです。「な〜んか教えられましたね。僕はわかってるつもりで、わかってないというか…なんかそういうところなんですよ。人間にとって大事なところは。カメラマンだとまずそれを捨てなければやっていけなかった。でもそこは人間として捨てては駄目なんやということをヒップホップの彼らに教えられました」と。

―  映像  春日大社    ピアノ:野上朝生  ―

20200209_08.JPG

保山さんは「病気の方もいろんなつらいことがある方も、困った時の神頼みで神社や春日さんにお祈りに行かれると思いますが、そんな時こそ他の人のことを祈って下さい。」「僕の経験から言いますと、困っているからこそどん底やからこそ、人の幸せ、大切な人の幸せを願っていただくことが、自分を変えるひとつのきっかけになると思うんです。病気の人もつらいことがあれば、いろんな気づきがあると思うんです。いろんな困りごとで悩んでいる人、病気の方、春日さんへお参りに行ったらどうかな」と。

「いろんなところで聞かれるので、この機会に答えました」とおっしゃっていました。

そして、来月3月7日の上映会は、グランドピアノが入ります!
「ずっとやりたかった!がんの病院で生ピアノでロビーコンサートした時、生の音に涙が止まりませんでした。いい意味での涙です。『人の心の奥に届くというのは、こういうことなんだ』と。そういうのをここでもやりたいと思って、その時の想いを僕の映像とともに皆さんの心の奥に届けたい!」と熱く語ってくれました。

空港ピアノのような、バスターミナルピアノも一日設置されるそうで「そちらも楽しんでいただけたら」と。「ピアノ、ベンツ保有率一番の奈良県だからこそのピアノとのつながり。もし余っているピアノがあればここに寄贈してください」ともおっしゃっていました。

最後は鹿の映像の解説です。
「あなたに、ほんの少しの時間があれば、餌付けをしなくても美しい風景の写真は撮れます。鹿をねらって撮りにいったんじゃないんです。いい景色やなぁと思って、ずっとそこにいたら、スーッと鹿が寄ってきてくれます。」

「飛火野の御手洗川(みたらしがわ)(ずっと水が流れていなかったそうで)、川に水が流れてメチャクチャ嬉しかった。僕は春の小川を撮りたかったんです。」保山さんは奈良に春の小川はあるのかって探されたそうです。「コンクリートで固められているのは小川じゃない。里山ですら河川工事をしている。唯一探したのが、飛火野の御手洗川でした。川に水が流れるようになったら、鹿の動きが変わり、集まってくるようになったんです。」と教えてくれました。そして、最後に「自然な鹿を見ていただいて終わりにしたいです」と締め括られました。

―  映像   東大寺の鹿 ―
―  映像   飛火野の鹿 ―

今回も盛りだくさんの内容で、お客様はたっぷりと保山さんワールドを楽しまれていました。来月はいよいよ保山さん夢のグランドピアノがやってきます。予約チケットをお求めになる方も多く、ワクワクしながら楽しみに帰っていかれました。

写真:松森重博理事  文:広報G 増田優子


posted by 奈良まほろばソムリエ at 11:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月19日

女性グループ(ソムリエンヌ)吉野薬師寺の座禅体験と高井の千本杉見学

20200119_01.JPG

11月6日(水)女性グループ・ソムリエンヌ10名と檀家さんとヨーガ指導者2名とで、桜井駅に集合して宇陀市榛原の「高井の千本杉」を訪ねました。

20200119_02.JPG
<高井の千本杉>

県指定の天然記念物である幹周囲25m、高さ45mの千本杉にみんな圧倒されました。旧伊勢街道沿いにあり、約1m四方の古井戸(現在は空井戸)の周囲に植えられた杉が成長して根元が癒着されたと言われています。樹齢は約700年とされています。所有者は個人で「千杉(ちさん)白龍大神」として祀られています。

20200119_03.jpg
<吉野薬師寺の石垣>

20200119_04.jpg
<ご本尊・薬師瑠璃光如来> 

次に吉野三茶屋の薬師寺に向かいました。薬師寺は曹洞宗のお寺で、本尊は薬師瑠璃光如来、江戸時代に創建されました。基壇の石垣は名古屋城の石垣を作った者によると伝わっていて、見事な石垣です。

20200119_05.jpg

中條雅道住職は永平寺で2年間修業された後、釈尊の真の教えを知りたく、さらにパーリ語を学ばれました。
「釈尊は瞑想(座禅)により、悟りに至り、心と体のバランスを保ち、偏らない心で安定した日々を送られ、寂滅されました。」とお話がありました。

20200119_06.JPG

20200119_07.jpg

鐘の音を合図にそれぞれ小さなしっかりしたお座布団に結跏趺坐(これに近い坐り方)して、半目(これは私には難しいことでした)になり、静かに呼吸をしながら座禅を始めました。10分後、鐘の合図で終わりました。少し休んで、もう一度座禅をしましたが、2度目は少し長目でした。私は頭が白くなったような気分でした。中條住職は「鳥の声や周りの音もただ聞き流すということで、偏った考えから解放され、心が安定してきます」と言われたことが、心に残りました。

20200119_08.jpg
 
そのあと静かなお堂で、ヨーガの指導者によりヨーガを行い、心身ともにリラックスできました。吉野の山々の清々しさもあり、爽やかな気分で帰路につきました。

20200119_09.jpg
<吉野薬師寺にて記念撮影>
 
 
文・写真 女性グループ(ソムリエンヌ)平越真澄

posted by 奈良まほろばソムリエ at 19:54| Comment(0) | 女性G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月11日

保存継承グループ 天理市:石上神宮の「神庫祭(ほくらさい)」見学記

「神庫」とは天理市布留町、石上神宮の禁足地の南西に建つ御神宝を収蔵する庫であると同時に、神格の宿るところとされています。同神宮では毎年大晦日に「神庫祭」を斎行して神宝の安泰を祈願されています。

同神宮の神宝の中でも有名な国宝「七支刀」(4世紀)や重文「鉄盾(てつたて)」(5世紀)はこの神庫に収蔵されてきた伝世品とされています。現在は他の神宝とともに昭和55年(1980年)に完成した宝物収蔵庫に収められているそうです。
  
20200111_01.JPG
<国宝の石上神宮拝殿。拝殿奥が禁足地>

20200111_02.JPG
<境内に生息するニワトリ。神鶏とも呼ばれます>

その「神庫祭」に限って神事参列者は神宝が祀られていた禁足地へ特別に入ることが許されるのです。令和初の大晦日、保存継承グループ有志ら11名を含む、全体で約50人が参列しました。

20200111_03.JPG
<神庫祭が始まる前、禁足地入り口近くで。正面奥に神庫の屋根が見える>

午後2時半ごろ、お正月準備が整う拝殿近くに集合。曇天で雨も心配されていたのですが、午後3時、神事開始を告げる太鼓の音とともに禁足地への門が開かれるころ、雲間からは青空が広がりました。神職による祓え詞奏上のあと、参列者一同、斎員によるお祓いを受けてからいよいよ禁足地へ。(禁足地では一般の写真撮影は認められていません。)

剣先状の石製瑞垣で囲まれた神域とあって、普段は閉じられている門から一歩足を踏み入れた途端、今まで感じていた大晦日のざわついた気が一変。凛とした空気が清浄さを感じさせました。足元には鮮やかな緑の苔の絨毯が広がり、鳥のさえずりが心地よく響き渡っていました。

目の前には本殿、その南西に建つ二戸前の校倉が「神庫」です。同神宮ホームページによると、『日本書紀』垂仁天皇紀に「天神庫(あめのほくら)」と見え、現在の神庫は嘉永4年(1851年)の再建で、元は禁足地の外にある拝殿西隣に建っていました。本殿建立工事に伴い、明治45年(1912年)に現在の禁足地内へ移築されたとあります。
 
参列者が神庫東側で本殿を背にして並ぶと、宮司さんはじめ、斎員が神庫の前に進み一拝。玉串拝礼にあわせて参列者も拝礼。撤饌、一拝にて一連の神事は約20分で終了しました。宮司、斎員退出後、参列者も後ろ髪ひかれながらも禁足地を退出。今年最後の夕陽が本殿や神庫を神々しく照らす中、ご神威にあやかりました。

20200111_04.jpg
<大祓式の開始前、祓所に入る神官ら>

20200111_05.JPG
<参集者が清々しく新年を迎えるのを祈願する大祓式>

神庫祭に続いて境内の祓所では大祓式があり、参列者全員が切弊(きりぬさ)をいただいて大祓式、午後4時からは拝殿で除夜祭が斎行されました。新たな令和の時代を迎え、ご神宝を守ってきた貴重な神庫の下で気分一新させていただけた特別な大晦日となったのは言うまでもありません。
 
なお、七支刀と鉄盾(2個)は、東京国立博物館で1月15日から3月8日まで開催される「日本書紀成立1300年特別展『出雲と大和』」に出陳されるとのことです。

保存継承グループ  文:中西環、写真:久門たつお

posted by 奈良まほろばソムリエ at 10:16| Comment(0) | 保存G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月12日

「JR万葉まほろばウォーク」ONE TEAMで大成功!!

令和元年12月7日(土)、JR万葉まほろば線専用臨時列車で行く「JR万葉まほろばウォーク」が、奈良まほろばソムリエの会の主催、JR西日本大阪支社さんのご協力で、盛大に開催されました。

7月の報道発表から約5か月!当会主催による初のビッグイベントは、JR西日本さんの格別のご協力のもと、ガイドグループ・東エリア担当の石田一雄理事をリーダーに、ガイドG総力をあげて準備を重ね、下見も3回、回を重ねるごとに改善されていきました。当日は雨に降られることもなく、寒い風にさらされることもなく、ちょうどいいウォーキング日和となりました。

午前11:45 JR万葉まほろば線(桜井線)に参加者94名+当会ガイドGを中心にスタッフ約40名の合計140名ほどが乗り込み、新型車両・4両編成貸切列車の出発です!

車内アナウンスでは、ガイドGの佐々木むつみさんが当日のコースを伝え、続いて鉄田専務理事の紹介で、当会万葉集の達人・米谷潔さんの「万葉ミニ講話」が始まりました。

20191212_01.JPG

米谷さんは、万葉まほろば線の「まほろば」(真秀ろ場)とは「素晴らしい場所」であるということや、倭建命の歌「倭は 国のまほろば たたなづく青垣(あおかき) 山隠(やまごも)れる 倭しうるはし」、大伴家持の「新(あらた)しき年の始(はじめ)の初春(はつはる)の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)」をご紹介。

そして、「万葉集は7〜8世紀の130年間を第1期~第4期に分けていること」「万葉集は歌集であるとともに歴史書でもあること」「原文はすべて漢字で、掛け算の知識もあったこと」「元号令和のこと」等わかりやすく解説されました。

20191212_11.JPG

乗客の方々は、しっかりと米谷さん作成の資料を読み、耳を傾け、柿の葉寿司のお弁当を食べながら、到着後に始まる「JR万葉まほろばウォーク」のために「頭の準備体操」をしておられました。

午後12:12 巻向駅到着。さぁ10班に分かれて、当会史上最大のガイドツアーのスタートです。

まずは、初期ヤマト政権発祥の地、邪馬台国の候補地として全国的にも有名な纏向遺跡と、卑弥呼の祭祀場跡かともいわれる大型建物跡をご案内。

20191212_03.JPG

続いて、前期古墳では全国8番目、奈良県でも2番目に大きい渋谷向山古墳(景行天皇陵)へ。

20191212_04.JPG

そして、その先には額田王歌碑。有名な長歌「味酒(うまさけ)三輪の山 あをによし…」や反歌「三輪山を しかも隠すか 雲だにも 情(こころ)あらなむ 隠(かく)さふべしや」を。ここでは、ガイドさんの「犬養節」を聞かれた人も、いらっしゃったのでは?!

20191212_05.JPG

そして、ここから「柿本人麿 四連打です!」と。それぞれ揮毫者も違い、解説。

巻向の川音(かはと)、痛足川(穴師川)の川波、巻向の岸の小松に降る雪、流れゆく水沫(みなわ=水の泡)を詠んだ歌碑を巡っていると、万葉びとは自然を五感で味わい表現し、なんてひたむきで感性が高かったのだろうと、驚くばかりです。

また、高市皇子の万葉歌碑では、皇子と十市皇女の系図などを見せてもらいながら、2人の思いにも近づいていきます。

そして、午後2時頃にはどの班も檜原(ひばら)神社へ到着。

20191212_06.JPG

この神社が「元伊勢」と言われる理由、「三ツ鳥居」のこと、注連柱(しめばしら)を通して、春秋の彼岸の頃に二上山に沈む絶景の夕日の話などをされました。
(ここで、少し休憩)
また、万葉歌碑を求めて歩き出します。

すると、奈良時代末〜平安時代初めの興福寺の高僧・玄賓(げんぴん)さんが隠棲された玄賓庵(げんぴあん)が見えてきました。ここでは、世阿弥作の謡曲「三輪」の話を解説。

さぁ、次にここを上れば、「大美和の杜(おおみわのもり)展望台」。藤原京に思いを馳せながら大和三山を一望します(雨でなくて良かったです)。

その後、医療と薬の神様をお祀りする狭井(さい)神社へ。拝殿奥には、万病に効くと言われる霊水の湧く「薬井戸」があり、皆さん順番に飲まれていました。

そして、最後の3つの万葉歌碑。長屋王、高橋活日(いくひ)命と、楽譜のついた倭健命の歌碑(黛敏郎さんが作曲された五線譜の歌碑)。ここで、1班のガイド(ガイドG研修リーダー)安井永さんは、コーラス部で培われたお声で「大和は 国のまほろば たたなづく青かき〜♪」を歌ってくれました。(拍手〜!)

そして、3時を過ぎると各グループは続々と終点の大神神社拝殿前へ到着。

20191212_07.JPG

晩秋の美しい紅葉(黄葉)が迎えてくれました。

20191212_08.JPG

ガイドの皆さんは、ご祭神・大物主大神のことやご神体山・三輪山のこと・巳の神杉(みぃさん)のことなどを話され、最後の挨拶をされていました。

20191212_09.JPG

参加者の皆さんは、お礼をおっしゃって別れた後、拝殿などを参拝され、(歩き続けたお疲れもあったでしょうが)さわやかな笑顔で家路へと向かわれました。

少し感想を聞いてみると…
「ガイドさんの詳しい解説がとても良かったです。」
「1人では出かけにくいけど、ツアーなら皆と行けるので安心でした。」
「電車の貸し切りなんて、めったになくて楽しかったし、万葉講座も面白かったです。」
「いつも万葉歌碑ってあったとしても見ていなかったので、1つ1つを教えてもらえてありがたかったです。」
「歩き慣れた所なんだけど、また話を聞いて新鮮な感じで楽しめました。」
「ガイドさんは、80歳近くなのにこれだけ歩いて展望所にも登って、ご立派です!」
「楽しかったから、ぜひまた企画して下さい!」等々、たくさんの感謝と新たな企画ご希望のお言葉をいただきました。

お客さまとスタッフ、総勢約140名、皆一緒に列車に乗って、お口には柿の葉寿司、お耳には万葉講座、そして歌碑を巡るウォーキング!「令和の記念に、みんなで万葉集を楽しみましょう」と当会とJR西日本さんがONE TEAMで進めた今回の企画、大成功裡に幕を閉じました。

文:ガイドG 増田優子 写真:鉄田憲男専務理事


20191212_10.jpg

posted by 奈良まほろばソムリエ at 21:24| Comment(0) | ガイドG | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする