2019年07月24日

ふれあい交流会 フン虫王子がやってきた!

7月15日(月・祝)ソムリエの会第3回ふれあい交流会講座が南都銀行西大寺銀行クラブで行われました。今回の講師は「ならまち糞虫館」代表のフン虫王子こと中村圭一さん。「糞虫の聖地!奈良公園の魅力」と題して和気あいあいとした楽しい講座でしたので、ご報告させていただきます。

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館長のプロフィールと「ならまち糞虫館」設立物語
子どもの頃から虫が大好き!いつも下を向いて地面に何か虫はいないかと木の枝でひっくり返す好奇心いっぱいの少年だった中村さん。中学時代に糞虫の存在を知り、奈良公園でルリセンチコガネに出会いその輝く姿に魅せられてしまいます。なんと中学高校生の公募コンクール「日本学生科学賞」の県知事賞を受賞!その後、大人になって糞虫観察のため世界にまで出かける一方、金融機関の東京勤務が続きます。
「好きなこと、ワクワクすることをやりたいな。何か新しい挑戦を!」と仕事を辞めて、新たな世界へ飛び出します。地元奈良に戻り、空き家の町屋のモデルケースに応募すると「面白い!」と採用。夢が一気に実現したそうです。
しかし、「空き家といっても、まわりの環境は昭和レトロ。内装を知り合いのデザイナーにお願いして、(ただ虫を並べるのではなく)オシャレなジュエリーショップのような展示にしてもらいました。」と中村さん。まるでギャラリーみたいな斬新なデザイン!「こんな糞虫館は、日本でここだけです。」と。
そしてさまざまなメディアに取り上げられ大きな話題になっていきます。「日経新聞の『私の履歴書』の横にある文化欄にまで載って『場違い‼』と思いました(笑)」と中村さん。

奈良公園と鹿
「今は鹿活!鹿と美しい奈良公園の景色を撮ってインスタに上げるのが流行です。」「奈良といえば、1に大仏、2に鹿、3にフン虫‼ 大ブレークしますよ(笑)これ最先端ですから。」と笑いながらも真顔でおっしゃる中村さん。
奈良公園は「糞虫の聖地」として専門家の間では、とっても有名だそうです。「環境が守られていないと糞虫は生きていけない。ここは彼らにとって住み心地良いから、糞虫の聖地なのです。」と。そして、日本の三大「糞虫の聖地」(広島県宮島と宮城県金華山とここ奈良公園の三つ)を紹介して下さいました。
「一日約1トンの鹿の糞が奈良公園にばら撒かれ、それを糞虫が処理をしてくれます。彼らが鹿の糞をバラバラに粉砕して土に還してくれるお陰で(微生物も作用して芝生の養分となり)美しい芝生、緑は守られるのです」と。
(あとでお聞きしたら、「もしも人を雇ってフンを拾い集めたらそれだけで23億円!その上、芝刈り機を買って、設備投資をして、フンを処理して肥料に還元すると、毎年100億円ほど費用がかかる」とのことなのです。なんてすごいフン虫たち‼)

では、糞虫とは?
一般的には、糞を食べるコガネムシの仲間で、日本に約160種生息。奈良はその内59種が確認されていて、一年中観測できるそうです。「でも、実は日本にいる99%はフンを転がさないのです。しかし!1%は、フンを転がします!」「1%ここ大事‼ソムリエの方ならここは押さえて‼(笑)」とユーモアたっぷり。

糞虫の四季
「春はフン虫のメスを求めてオスが歩き回り発見しやすいんですよ。」と中村さん。「一日中ずっと座って見ているといろいろとわかるんですよ」と。(一日中待つって、中村さんそこがすごいんですけど)
「でも夏は見つけにくいんです。夏は親が死んで数が減るし、暑いと土中にもぐります。基本、一年しか生きないのです」と。
「秋は生まれたてのピカピカ!」そして5本角のまるでカブトムシのようなゴホンダイコクコガネのことを話され、「かっこいいでしょ」と自慢気な中村さん。
「冬にもフンを食べる種類がいます」と四季それぞれの様子を紹介して下さいました。

奈良特産のルリセンチコガネ
実は、ルリセンチコガネというのは、種名は「オオセンチコガネ」。地域によって色の差があるらしく、ここ奈良で生息するのは色がなんとも美しい「ルリ色のオオセンチコガネ」。これが奈良でしか見ることができないために「ルリセンチコガネ」と呼ばれています。(奈良だけがルリ色だなんて素敵ですね!)
そして糞虫たちの約半分がマクソコガネの仲間で、一年中生息し、奈良公園の鹿のフンをきれいに食べてくれます。
「皆さんご存じでしたか?『奈良市の環境キャラクターになったのは何でしょう?』・・・正解は『奈良が世界に誇るルリ君‼なのです〜!』」(マニアック〜‼)
そのルリセンチコガネの繁殖は、一つの穴に一個のたまご。地下で食事とエアコンつきで、湿度も調整してくれますからね〜」と。

多種多様なマクソコガネの仲間を紹介
犬のフンじゃないと嫌だというセマダラマグソコガネ、牛糞等が好きなマグソコガネ、フンを食べない糞虫、とっても小さいヒメツツマグソコガネは奈良でしかなかなか見つけられないレアな糞虫Saprosites narae (なんと学名の中に「奈良」が入ってる!)等々

世界の糞虫
美しい糞虫や牛糞に埋もれかけたオーストラリアを救ったといわれる糞虫の話等アフリカやアジア等世界中で活躍(⁉)する糞虫も紹介されました。

ファーブル昆虫記のフンコロガシ
ファーブル昆虫記に出てくるスカラ・サクレはフランスにはおらず、「ファーブルさんは実際にはスカラベティフォンを観察していたのでは?」と中村さん。しっかりと「エジプトのフンコロガシを奈良公園で飼ってみる」という実験もされて成功しています。

古代エジプトの太陽神のフンコロガシ
古代エジプトの権力者は、スカラベ(フンコロガシ)を神の使いと重ね合わせていたかもしれない(フンの玉を転がし大きな球体を作るスカラベの習性を神秘的なものと考え、その球体を太陽に見立て、スカラベを太陽の運行を司る神と同一視)というから驚きです。スカラベを模した装飾品まであって出土しているとか!
(ちなみに日本にスカラベの仲間はいないようです。)

大丈夫か?奈良公園
鹿が草を次々と食べてしまい、春日山原始林は最近木が育ってきていないとか。
また、ナラ枯れという現象も起きているそうです。体に菌がついた木食い虫が大量発生。水は不足するし、止められない虫の増殖!
また、芝生は勝手に育つとボサボサになってしまいます。鹿が芝生を食べては踏みを繰り返し、観光客も増えて踏みつけられてしまうので、禿げてしまうそうです。いろいろ問題があり、奈良の自然、奈良公園をどう守っていくかも考えなくてはならないと問題提起もされていました。そして、中村さんは、一人でも多くの方に奈良公園の小さな糞虫の大きな存在を知ってもらい、魅力を感じてほしいと活動を続けておられます。

こよなく糞虫を愛し研究し続ける中村圭一さん。なんとも楽しそうに少年のように目を輝かせて糞虫を語るお姿を見ていると、これは奈良の新名所になるかも!とうなずいてしまいます。大ブレークする前に糞虫館に一度足を運び(土日13:00-18:00のみオープン・奈良市南城戸町)新しい世界を旅してみるのも面白いかも!行ってみなくちゃ!と思われた方も多かったのでは。久々の「ふれあい交流会」は女性も多く賑やかに終わりました。


広報G 文:増田優子 写真:鉄田憲男



posted by 奈良まほろばソムリエ at 20:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月01日

保存継承グループ 橿原市:上品寺町の「シャカシャカ祭」見学記

奈良県内には、御所市・野口神社の「汁かけ祭」や田原本町の「鍵の蛇巻き」「今里の蛇巻き」等、藁(わら)で蛇の形をした綱を作り、それを祀る行事がいくつかあります。

毎年6月5日に行われる橿原市上品寺町の「シャカシャカ祭」は、県内で一番有名な「ノガミ(農神あるいは野神)祭」とのことで、古くは旧暦5月5日に行われていました。
蛇の作成から最終のご神木への蛇巻きまで、のんびりと見学しました。

シャカシャカ祭では、その年に地域(上品寺町)で長男が生まれた家が、当屋(頭屋)を務めます。少子化の進んだ現在は、当屋は世話役のような人が務めます。
当日の午後1時から当屋宅の庭で稲わら(以前は麦わら)で約10b、重さ約20`cの“じゃ”(蛇)をつくります。上品寺町の田んぼで昨年とれた稲わらを使っているとのことです。

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<当屋のガレージで“じゃ”が作られています>


上あごと下あごは、桟俵(さんだわら)という米俵の両端につける円形の藁ぶたを使います。
今年初めての試みで、ビワの実で目がつくられ、完成。なんとも可愛い“じゃ”が出来上がりました。
午後3時から当屋宅で作られた、ヨシの葉で包んだチマキが2個、“じゃ”の顔の前に供えられました。長さ約20a、直径約10aの棒状の大きなチマキです。

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<大きなチマキを口の前に供えられて…>


午後4時ごろ、当屋に青いハッピを着た小学生以下の男子が20人ほど集まってきました。
赤いハッピを着た当屋の児を先頭にして、子どもたちは蛇の横に並びます。

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<4時集合!もうすぐ出発>

午後4時、“じゃ”を担いで、さぁ出発。ただし、昔からの風習で担ぐのは男子のみです。

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<子どもたちが“じゃ”を担いで町内を練り歩く>

途中、現在は無くなった池の跡で“じゃ”に水を飲ませます。池の代わりに、大人が運んできたバケツの水をしゃくで汲んで、口にかけます。

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<子どもたちが交代で“じゃ”に水を飲ませます>

水を飲ませ終わると、折り返して上品寺町の集会所の方に向かい、もう一度池の跡とされる場所で“じゃ”に水を飲ませます。こうして約30分余り練り歩いたあと、集会所横の大きな榎の木(ご神木)に“じゃ”を巻き付けます。木の上に登って巻き付けるのは、大人たちです。
木の上方の二股になった太い枝の間に頭を掛けられ、赤い舌をだらりと垂らした“じゃ”は、少し疲れたような表情にも見えます。

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<二股に分かれた枝に顔を掛けられたる“じゃ”>

“じゃ”が木に掛けられると、祭りは終了。ご神木の前で記念撮影をして解散です。

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<参加者全員で記念写真>

●シャカシャカ祭の由来
元々は、農家を継ぐのが長男であることから、長男が生まれた家が当屋となって、麦わらで、長さ5b、直径30a足らずの蛇(じゃ)を作っていました。それを、村の7才から15才までの男子たちが担いで村を練り歩き、水を飲ませるため南北2つの池の中に“じゃ”をつけた後、農神さんの木にそれを巻き付けて、お神酒やチマキを供える、というものでした。
祭りの起源は、ここにあった大きな池を埋める時に殺した大蛇の霊を弔うためという説もあります。
シャカシャカ祭りの語源については、蛇が竹やぶなどを通る際にシャカシャカと音がしたことから名が付けられたなど、いろいろな説があります。

今後も、元気な子供たちと地域住民の協力により、「シャカシャカ祭」が続いて行くことでしょう。

保存継承グループ  文:春日由広、写真:小倉つき子

posted by 奈良まほろばソムリエ at 22:03| Comment(0) | 保存G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする