2019年08月06日

奈良の歩き方講座「行基、重源、公慶が支えた大仏さま」

講師:小倉涼眞尼さん

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7月21日(日)、奈良の歴史通が集う当会人気の講座「奈良の歩き方講座」が開催されました。
5月からは会場もナラニクル「多目的室」(奈良市中部公民館内)に変わり(前回までは定員16人)、今は30人の出席でも、ゆったりと聞くことができました。

今回の講師は、奈良佐保短期大学非常勤講師で、信貴山千手院で得度された小倉涼眞尼さん(つき子さん・当会会員)が「行基、重源、公慶が支えた大仏さま」という演題で[東大寺 知っているようで知らない入門編]のお話をして下さいました。

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まずは鉄田専務理事より、12月にJR万葉まほろば線臨時列車を使ったウォーキングなど、今後の万葉集にまつわるイベントのお話があり、会場ではどよめきが起こりました。令和元年度、次々と企画されるソムリエの会の「万葉集」のイベント!奥が深くて楽しみです。続いて、小倉さんの講演が始まりました。


1.大仏造立と行基さん
まずは、『大仏造立の詔』を『続日本記』より抜粋して現代語訳で紹介。
聖武天皇が「なぜここまでして大仏さまを造られたのか」を歴史とともにご解説。

そして、紫香楽宮付近に甲賀寺を開いたとされる行基さん、この時期一番ご活躍のスーパー僧侶ぶりをお話して下さいました。(平城京に都が戻って、現在の東大寺寺域で大仏鋳造再開されたのが行基さんなんと78歳の頃!ということは今でいうと100歳くらいでは!)

もちろん創建時の大仏さまは平安期の『信貴山縁起絵巻』にしっかりと描かれていますとご紹介。(小倉さんは、信貴山千手院で得度した尼さんでいらっしゃるのでとってもよくご存知!)


2.鎌倉期再建と重源さん
治承の兵火のお話と、これまたすごい大勧進僧・重源さんの東大寺復興のお話。
再建事業プロデューサーを始めたのが61歳って、今でいうと80歳くらでは?
(想像できないくらいの大きなエネルギーの持ち主で、本当にすごいですよね。)


3.江戸期再建と公慶さん
三好・松永の乱で頭部が焼失した大仏さまを銅板で仮復旧されたが(都祁の山田道安さんによるものです)、120年間露座のままだったことなど。そして14歳で東大寺に入った公慶上人。再建のため、江戸幕府の許可を得て全国で勧進!そうして、やっとできあがった江戸時代の大仏殿落慶までのお話をして下さいました。


4.天平の東大寺を歩く
「東大寺は何度も何度も焼けたりしましたが、しっかりと残っているものもあります。その中から天平時代のものをご紹介します。」小倉さんのお薦めは…

*倉庫・・・本坊経庫、勧進所経庫、法華堂経庫、手向け山八幡宮経庫、そして正倉院(「宮内庁管轄で土日は開いてないので平日にどうぞ」
「今年の東京国立博物館の正倉院宝物展示はすごいですよ」とおっしゃっていました)

*法華堂・・正堂(北)が創建時で、礼堂(南)が鎌倉時代の再建。

*梵鐘・・・・「大仏開眼と同年の天平勝宝4年のもの。除夜の鐘をぜひこの奈良太郎(東大寺の鐘のニックネーム)のそばで聴いて下さい。お腹に響きます。大仏開眼供養の時に鳴ったと思うと感慨深いものがあります」と。

*八角灯籠・・一部修復されていますが、創建時の灯籠です。

*転害門・・「私が奈良に興味を示したのはこれです!」と一押しでした。
「創建当初からあって、こんなにすごいのにどうして行かないの?」と皆さんに紹介されたそうです。「昔は猫もいっぱいいて、壁もなく上れたんですよ〜。八脚門です」と思い出話も飛び出しました。

等々、東大寺の境内で、天平の風を感じることができる場所を教えていただきました。

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最後に、「東大寺はいろいろな時代のお堂が見られる数少ないお寺です」とおっしゃられ、境内を一つ一つじっくりと拝観することをお薦めされていました。

奈良時代、平安時代、鎌倉時代、江戸時代…様々な時代のお堂や仏像が現存する東大寺。その時々の人々は、どんな生活をしてどんな想いで生きていたのでしょう。
今回の東大寺、大仏様の入門編のお話はまだまだ知らないことがたくさんあると気づかされました。奈良と言えば、「なんたって大仏様‼」「大きな愛で私たちを見守って下さる大仏様!ありがたいなぁ。ほんま感謝やわ」と思いました。合掌。

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文・増田優子(広報G) 写真・鉄田憲男


posted by 奈良まほろばソムリエ at 22:38| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月05日

始まりました!「サクサクわかる!万葉講座」

第1回「万葉学ことはじめ〜90分で万葉通に〜」米谷潔さん

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7月27日(土)南都商事新大宮セミナールーム(南都銀行大宮支店と同ビルの4階)で第1回「サクサクわかる!万葉講座」が約50名の参加で行われました。当会で万葉集と言えば米谷潔さん!まるで「令和」を予言したかのような当会「奈良まほろばかるた」の制作提案、読み札・解説文の原案作成者です。万葉集を徹底的に研究され、何十年も学ばれた深〜い知識を初心者でもわかりやすいように、まとめて下さいました。

そんな貴重な講演を、なんと今回は、要点のパワーポイント画像(この記事の末尾)まで載せて下さるのだから、ありがたい! 講演会に行けなかった方もぜひこの機会にご一読を!万葉集の基本の「き」、土台がしっかりとできあがるチャンスですよ〜(^^)

では、そんな米谷さん、万葉集との出会いのルーツをたどると…「高校時代のクラス担任が、万葉集研究の第一人者・犬養孝先生の愛弟子・清原和義先生だったのです」と。高三の時、受験前というのに授業は万葉集ばかり。そして、万葉集ゆかりの地をたくさん歩かれたとのこと。「先生のお陰です。ご恩とご縁を感じます。」とおっしゃっていました。

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そして、まずは序論で三つの歌「三輪山をしかも隠すか雲だにも…」「采女の袖吹き返す明日香風…」「あをによし寧楽の京師は…」を解説。

その後いよいよ本論へ。「万葉集は日本最古の歌集」ということで、その名前の由来から始まりました。実は「万葉集は、逐次付け加えられていった歌集なのです」とのこと。その20巻の概要、年代、時代背景、作者、歌の種類分け、詠まれた土地等、次々に内容をギューッと凝縮して図表にして説明して下さいました。(末尾のパワポをご覧いただくと一目瞭然!)

そして、有間皇子や大津皇子の歴史的事件を系図や写真を使ってお話されました。「万葉集のテーマは愛と死なのです!」と。(なるほど!!)

また、万葉集原文についても触れ、漢字文、万葉仮名、九九も使われたことやその使い方もご解説。一番多く使われている動物「ほととぎす」や植物一番の「萩」、二番の「梅」など、いろいろな動植物をご紹介下さいました。

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そして、柿本人麻呂歌集の歌を紹介し、古来、日本には言霊信仰があること。言霊が日本の精神文化の基礎にあったことをお話下さいました。最後に「令和」にまつわる梅花の歌を解説され、今の時代について思うことも話されました。

「最近の言葉はどうでしょう。すぐに言葉を縮めたり、カタカナにして省略したり、そこには『言霊』がないじゃないですか。悲しい。日本語をもっと大事にしてほしいです」と…。令和になった今、万葉集をきっかけに、日本の言葉や言霊についてもう一度考える機会を与えられたような気がします。

「万葉集は文学と歴史学の接点!歌集であるとともに歴史書なのです」「日本の文化を大事にしたいのです」と締めくくられました。

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米谷さんの穏やかな笑顔の講演は、聞き始めると、難しそうな万葉集の世界が次第にわかってきます。参加された皆さんも、ご満足そうに帰って行かれました。米谷さん、わかりやすくお話下さり、ありがとうございました。

さてさて、これからのソムリエの会「万葉シリーズ」はどのように展開していくのかドキドキワクワク楽しみです。皆さんもぜひこの機会に参加されませんか?(なんとこの「サクサクわかる!万葉講座」は、県から「なら記紀万葉」の補助金が出るので無料なんです!)ソムリエの会内外からの皆さんのお越しをお待ちしております。

当日のパワーポイント資料

文:広報G 増田優子  写真:鉄田憲男

posted by 奈良まほろばソムリエ at 22:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする