2019年09月22日

保存継承グループ 五條市西吉野町:波宝神社の「岳祭り」見学記

五條市西吉野町夜中(よなか)の標高614bの銀峯山(ぎんぽうさん)山頂に鎮座する波宝(はほう)神社。平安時代に延喜式内社とされた由緒をもち、1672年(寛文12年)建立の本殿は珍しい連棟社殿で、県文化財に指定されています。秋の例大祭「岳(だけ)祭り」は毎年9月の第2日曜に行われていて、今年は8日、心配された台風の影響もなく、快晴の下、賑やかに執り行われました。

20190922_01.jpg
<本殿は一間社春日造、檜皮葺が二棟接続した連棟社殿形式。祭神は住吉大神と神功皇后>

20190922_02.jpg
<本殿に供えられたお神酒、餅、野菜など。本殿の障壁には祭神の神功皇后の伝承に関係する日食図、住吉大神にまつわる波の絵が描かれています>

20190922_03.jpg
<午後1時、本殿前の割拝殿周辺に関係者が集まり、植原啓勝宮司のお祓いを受け、お渡りがスタート>

中心になる神輿渡御は40年余り中断していましたが、2017年(平成29年)に氏子役員、青年団員らが復活させ、今年で3回目となります。鉄杖、高張提灯や“御幣さん”を持つ各自治会長、主役の神輿2台などが続き、最後尾は植原宮司です。

20190922_04.JPG
<担ぎ手も大うちわを手にした人たちも「ワッショイ!ワッショイ!」「オーッ!」。神社を出発した神輿の後ろを家族らが続きます>

20190922_05.JPG
<本殿障壁の日食図の太陽、鶴などを描いた色鮮やかな“御幣さん”。地名の夜中は日食で夜のようになったことにちなんでいるとされます>

江戸時代制作とされる神輿は大きい方が約30人、小さい方が約20人で担ぎます。担ぎ手は14地区の青年らが中心で、さらに西吉野町の県立五條高校賀名生(あのう)分校から先生2人、生徒8人、復活の際に神輿の担ぎ方を見学した縁で和歌山県橋本市の神社の青年7人が参加しておられるとのこと。背中に「祭」の文字、神社名と住吉大神にちなんだ波の図柄が入った揃いの法被は、復活時に西吉野町の柿関係の会社から寄贈されたものです。

20190922_06.jpg
<境内を出た渡御行列は参道を南西に約200b下り、大鳥居前の広場で掛け声とともに、神輿2台を揺らしたり、高く上げるパフォーマンス。かつては神輿をぶつけ合い「けんか祭り」と呼ばれたことも>

20190922_07.JPG
<そうしている間に今年の当屋地区、平沼田(ひらんた)からの行列が合流>

20190922_08.JPG
<お渡りの総勢約180人でさらに南西に約400m進み、丘の上の御旅所で神事が行われました>

20190922_09.JPG
<神事が終わると、再び神社へ還御。神輿の担ぎ手は大鳥居前で再び気勢を上げた後、今度は上りの参道を経て境内に戻って最後の「ワッショイ!」>

20190922_10.jpg
<神輿が戻ると、氏子役員さんたちによるお餅まき。最前列は子供たち、その後ろが大人で、あちらこちらで歓声が沸き上がりました>

前氏子総代の辰己博宣さん、現氏子総代の中前秀次さんのお話では、氏子さんたちは、柿・梅の生産農家や選果場関係の方が多く、平均年齢は47歳。農家人口は大きくは減っていないとのこと。若い世代は地区外に住んでいても、親世代の住む実家に通って、共に農業をされているケースも多いとか。

奈良県は柿の収穫量全国2位で、柿ハウス栽培では全国トップ。中でも五條市は自治体単位で収穫量全国1位。この実績が神輿復活の遠因になったのかもしれません。

お渡りの賑わいは、神社関係者の皆さんや、多くの地元の方々のご努力と熱意があってこそだと改めて感じました。神輿を担ぐお父さんたちを誇らしげに見ている子供たちが成人して岳祭りを継承してくれることを願いつつ、帰路につきました。 

          
文・写真  保存継承グループ  石井宏子
 
posted by 奈良まほろばソムリエ at 11:59| Comment(0) | 保存G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月21日

「奈良、時の雫」第3回−かすがの煌めき−保山耕一さん上映会

令和元年9月7日(土)保山耕一さん作品上映会「奈良、時の雫−かすがの煌めき−」が奈良公園バスターミナルで開かれました。保山さんからまず初めに出た言葉は「もう、この時点で嬉しいです!泣きそうです!…なぜかは想像して下さい。」と。(会場からは、「え〜⁉」とざわめきが…)

開演前の反省会
「では、今日も反省から」と始まりました。「なんの反省かというと、費用が50万円以上かかっているので赤字‼」だとか。「でも、今回からいただくチケット代1000円は大赤字だからいただくのではなく、もちろん運営資金もあるのですが、聖林寺修復の寄進のためです。『奈良の文化財保存のために何ができるか』それを考えてのチケット代です。どうぞご理解下さい。」とおっしゃられていました。

そして、今回、最初にご紹介されたのは、直前(数日前)に届いたメールの話。「その人は『行く予定でしたが、行けなくなりました。本当に行きたかったけど、行けなくて』と…。実はガンが肝臓に転移して病院に行かなければいけない。『治療費が要るんです。だから土曜日も仕事をして働かなければいけないから上映会に行けなくなりました』といわはるんです。」

「僕は頭をガーンとなぐられました。」「僕は病気で仕事を失って嘆いていたのに、その人は仕事をしないと治療できないって。」「僕はどれだけ幸せなことかと感じました。そして、その人は今日も生きるために働いているんだと思うと、頑張らなあかんと思ったんです。そうやって僕はいろんな人とつながっています」と。

「僕は目が覚めました」「僕にはやることがある!最後の最後まで全うしないと。必要とされてるんや。」と。そして、「最初から深刻でダメですね。まぁそういうことを感じていました」と言われ「あっ!今日の反省会は5分でやめておけ!って言われているんでした」(笑)と…。

20190921_01.jpg

平城宮跡歴史公園からのお知らせ
国営いざない館、保山さんは「いい展示していますよ〜。そしてスタッフ、売店の人、警備員さん、皆いい人なんですよ」とご紹介。そしてここでは『奈良、時の雫〜平城京跡〜』が常時上映されています(もちろん無料で)しかもアンケートでは満足度95%だそうです!

竹田室長のワンポイントまほろば講座
今回は「猿沢池」がテーマでした。猿沢池のウリは3つで、奈良燈花会・ならまち遊歩・采女祭だそうです。「保山さんの愛情いっぱいの映像を楽しんで下さい」と紹介されました。

上映作品解説「映像詩、かすがの煌めき」
今回は2016年に、春日大社に奉納された作品です。それを春日大社さんに無理を言って、もう一度上映していただけるという、まさにこの瞬間だけ観ることができる贅沢なひとときでした。ディレクターズカットで68分の上映解説は、2015年にさかのぼってのお話からでした。

「その時は病気に仕事を奪われフリーランス、誰ともつながっていなくて・・・」と。
「カメラのキタムラで中古で買ったイオスキス。これで動画が撮れるんやなぁ・・・」
「僕はテレビカメラマンやったけど、やっぱり自分にできることは撮影しかない」と。「好きなものを撮るしかない」と思われたそうです。

保山さんは世界各国の絶景を撮る仕事をした時、病の後遺症でつらいつらい思いをされたそうです。「そんな時に撮りに行ったのが飛火野。(当時)友達は一人もいなかった」そうです。

そして飛火野を愛する書家・桃蹊(とうけい)さんと出会います。「飛火野が僕らを結び付け、縁をつないだのです。気が付いたら3万円のカメラを桃蹊さんに向けていて、僕はテレビ番組風にテレビチックに編集したんです」そして春日大社にご縁のある保山さんは、桃蹊さんに純粋な気持ちで林檎の庭で奉納してはどうかと話を持ち掛けます。

保山さんは、神様と二人っきりになって、神様だけを向いて奉納するのが正しい奉納ではないかとおっしゃっていました。それがさだまさしさんとの出会いでのことだそうです。(「20年前はヨーヨー・マさん、最近はさだまさしさんにつながっています」と言われ、この話はまた後で出てきます)
「春日大社さんにはすべてわかっていただいて、『やりましょう!』と夜中3時に神職さんがたくさん出てきてくれはりました」と。そして「墨の匂い、墨をする音を思い出しながら見て下さい」と。

実は桃蹊さんのご主人は、保山さんと同じ病で他界されて(保山さんはお会いされたことはないそうですが)同じ病だったのが知り合った理由かなと思いました」と。そして、映像の中に「写真の中に男前のご主人がいらっしゃる。いつも横にご主人がいらっしゃるんです。常にどの場所にもいらして見守って下さっている。それでこの作品が作れたのかなと確信しています」と。保山さんは「この映像で気持ち良くなって
いただくのが願いです」とおっしゃって始まりました。

―「映像詩、かすがの煌めき」上映―
春日大社へ、御蓋山へ向かって、二拝二拍手一拝して、無心になって書き続ける桃蹊さん。フランス語の歌詞・メロディと鳥のさえずり、そして飛火野の美しい景色、これがなんとも絶妙なバランスで、会場内は一気に澄んだ空気に包まれます。

そして「春日山にふりそそぐ慈雨。神が与えた命の雫。この雫のおかげで私たちは天と地の間で命をつないできた。雫は流れとなり 春日の地へ」と保山さんの言葉が流れます。

「水はとどめることを知らず、生から死へとすべての命を運んでゆく」
「落ち葉は流れ 流れゆく先は みな同じ場所」

その言葉が美しい春日の映像に溶け込んで一体となっていきます。保山さんの映像・言葉は、まるで神様と私たちをつないで下さっているようでした。

桃蹊さんは、「飛火野は、自分の中で煌めいている場所。力をもらう場所。朝でも夜でも月がなくても星がなくても、私にとっては煌めく場所!」と。
そして、春日大社・林檎の庭で書の奉納が映し出されました。早朝のまだ真っ暗な中、和ろうそくの灯りだけで、「煌」という字ができ上がりました。

書と尺八のパフォ−マンス
薄暗い会場内に、桃蹊さんの気迫のこもった筆が紙の上を走る音と尺八奏者・松本太郎さんの尺八の音が響きわたります。そこに春日大社の映像が流れると、深夜の春日大社・林檎の庭での奉納のよう…。そして、三枚の紙の貼ったパネルにそれぞれ筆を持ち替えて「雲無心」(くもむしん)と書き上げ、最後にこの三枚を横に並べます。(雲無心とは禅語で、「自然に従い何物にも束縛されず、悠々と心静かに生活することのたとえ」だそうです)

尺八奏者の松本さんは「書に音をつけるのは、独特の間がいる。前から準備した曲というよりは音をつける!という感じなのです」とおっしゃられていました。

20190921_02.jpg

そして保山さん登場です。
「僕は、『神様には真心しか伝わらない』という言葉が大好きなんです」と言われ、「どっちを向いて奉納してるねん!というおまつりが、京都でも奈良でもあふれている。それを奉納という言葉で軽々しく使うのはどうなのかな」と・・・。

そして世界的チェロ奏者のヨーヨー・マさんが大仏殿に奉納演奏された時のお話をしてくれました。20年ほど前、保山さんが毎日放送でお仕事をされていた時「僕たちはその準備にカメラ5、6台で大仏様を背景に、大仏様の下で彼を待っていたんです。」

「そしたら彼は、大仏様の方を向いて演奏したんです。僕らはもうパニックでした。でも考えたら当たり前!僕らはそんなこともわからなかったくらいパニックでした」「僕らは『人間ごとき』を相手に演奏することを考えていた。ヨーヨー・マは照明なんて全く気にせず、すべてを大仏様に披露し捧げた。その満足感の顔‼」

「そしたら、また『人間ごとき』がアンコールした。大仏様が『アンコール!』って言いはったらしてもいいけど(笑)そんなことは言いはらへん」「その時のヨーヨー・マの背中がかっこよかった!男が一番かっこいい背中を見せた瞬間だった」と熱く語られました。

― そして、場内には、さだまさしさんの曲が流れます ―

保山さんの春日大社への想いに、さだまさしさんが共感されて実現するお話。
「午前0時を超えて、春日大社にさださん一人。遠くから聞こえてくるさださんの奉納の歌声。保山さんは「しびれた!こんな音楽を聴いたのは初めて」だと。「神様だけを見て、うまく歌おうとかでなく、歌を捧げた。それが僕の心を動かした!」「そこにいた人たちは皆聞くだけで涙が出た。神のため、人のため、一番大切なことを教えてもらいました」と。

そして「僕のカメラで『撮ってほしい』とさださんは言ってくれた。カメラ1台。1カットで。」「さだまさしが中国で何十億円という借金をして、どん底で生きる望みを失った時作った曲。それを僕のカメラ1台だけで撮らせてくれた。和ろうそくの灯りだけで。」

「カメラマンとして30年、このワンカットを撮るため!僕が築いてきた技術も経験もこの一瞬のためだったんだ‼」と。「自分の人生に合点がいった!」と。

「これ僕の30年、35年を込めたカットでした。春日大社花山院弘匡宮司さんが、これは何のためか?と聞いてこられた。さださんはさだまさしをいただいて、さだまさしとして奉納。生きて、生まれてきたことすべてを神に奉納してお返しするといわれました。僕は自分が与えられたことをやりきることに合点がいきました!」と。

しかし一方で保山さんは嘆きます。「そんなさだまさしさんの奉納を奈良の人はぜんぜん取り上げない!悲しい!」「なんちゃらコンサートっていって、お寺でおまつりを奉納するって・・・」「さだまさしに学ぶことが多いです!」とおっしゃっていました。

奈良まほろばソムリエの会による「奈良百寺巡礼〜聖林寺〜」

20190921_03.jpg

さぁ待っていました!今回は、当会より道崎美幸さんが聖林寺のご住職をお招きしてのトークタイム。『奈良百寺巡礼』の中で聖林寺を担当された道崎さんは「桜井は私の大好きな横穴式石室があるところです」と古墳好きにはたまらない桜井もピーアール!聖林寺のご本尊は、子授け・安産の神、お産の時には一緒に汗をかいて応援して守って下さるというありがたいお地蔵様。そんな巨大なお地蔵様のことや十一面観音様のこと、ソムリエ試験でのひっかけ問題「聖林寺のご本尊は?」などをお話されました。

―聖林寺の四季と国宝十一面観音菩薩像の上映―

保山さんによると今まで撮るのが難しく、避けてきたという十一面観音様。こん身の魂をこめた映像を見せていただきました。(いったいどのようにして撮られたのだろうと頭の中は?でいっぱいの映像でしたが、観音様の存在感にただただ圧倒されるばかりでした)

そして聖林寺の倉本明佳ご住職がご登壇されます。和辻哲郎さんの『古寺巡礼』を片手に聖林寺に訪れた白洲正子さんのことなど興味深いお話をしてくれました。例えば「『百寺巡礼』の中で、和辻哲郎さんは十一面観音様を路傍に捨てられたと紹介されていますが、これは間違いで、大切に守られながら聖林寺に来られたのです」等々。
十一面観音様の観音堂は、60年経ち耐震工事が必要で1億円以上もかかるそうです。来年の5月連休までは現在の場所で拝観できるとのこと。「どうぞ足をお運び下さい。そして寄付もお願いします。」とのことでした。(その後、東博や奈良博にも!目が離せませんね〜)


そして、「桜井といえばこの方!」と壇上からお声がかかります「雑賀さ〜ん!」。当会雑賀耕三郎副理事長、今回は「聖林寺の十一面観音様は厳しいお顔をされているでしょ。皆さんを助けて励まして下さるんです。たくさんの人が守ってこられたのです。寄進も大事!ぜひ拝観もしてほしい。そうすると観音様も喜んで下さる!」とお話しされました。すかさず司会の方から、「以上、応援演説でした〜!」と言われると会場はどっと笑いに包まれていました。

20190921_04.jpg

曽爾のススキ上映解説
「曽爾村のススキ、これは4年前の映像です。」と保山さん。「今はこのススキは見られません。栄養がなくなったのか、台風の影響なのか昔のようなススキの海が見られないのはなぜかわからない。見て下さい!感じて下さい!」と。

「当たり前にと思っているものが突然姿を消すんです。奈良を撮影していると、そういうことの連続です!」と警鐘を鳴らします。

「土門拳も愛した、僕の世界で一番好きな造形!それは、室生寺の十一面観音さん。とうとう金堂から運び出されたその時、お寺の人は『もう戻ってこないのか‼』とみんな涙を流されたとか…。ポツンと穴のあいた観音様のおられた場所…」

「自然、家族、友達、いのち、当たり前の中に本当に大切なものがある!ということをススキの映像から見てほしい」と保山さん。そして紹介されました「もう見られなくなった。いつかまた見られることを期待して『曽爾のススキ』」

― 曽爾のススキ上映 ―

保山さん、今回も素晴らしい映像と熱いトークをありがとうございました。皆さんも保山さんと素敵なひとときを一緒に過ごせてご満足のお顔でしたよ〜(^^)

次回は10月5日(土)、ならどっとFM『岡本彰夫の奈良、奥の奥』の公開収録、奈良百寺巡礼は正暦寺、豊田敏雄理事長と鉄田憲男専務理事のご登壇です!またまた楽しみです。(チケットはいつもすぐに完売になってしまうのでお早めに‼)


広報グループ 文:増田優子  写真:松森重博理事


posted by 奈良まほろばソムリエ at 08:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月08日

講師養成講座2019 これであなたも講師ができる!〜パワポを使った講演ノウハウ〜

令和元年8月25日(日)、当会啓発グループ主催の「講師講座」が南都銀行西大寺銀行クラブで催されました。今年で6年目(6回目)、鉄田憲男専務理事のこの講座は、この日が最終回で、来年度からは「新入会員説明会」で行われるということです。

まずは啓発グループ担当の大山恵功理事からご挨拶。「講師はどうも敷居が高いようで成り手が少なく、人数が足りていません。皆さんもぜひ手を挙げて下さい。」とお話がありました。会に登録されている講師は、現在25人だそうです。

20190908_01.jpg

第1部・講師養成講座

PowerPoint資料の表紙は、林修氏と池上彰氏のテレビでおなじみの画像が飾ります。
鉄田専務理事は「東京のキー局がやっているのと同じようなことが、パワポという『魔法のソフト』があればできるのです」「大学の先生をめざすのではなく、わかりやすい解説者をめざして下さい」と言われ、始まりました。

講演ではPower Pointが必須!
「パワポというのは圧倒的にわかりやすい。特に聞き手が高齢者の場合は、とても喜ばれます」と。プロの講師を呼んで「講師養成講座」をやろうと調べたところ、講師料が半日で10〜20万円ほどかかるそうです。そこで鉄田専務理事は、今までの職場での研修の経験と関連本をたくさん読まれてこの講演ノウハウを作られたそうです。(なんて貴重なお話!しかも今回はその資料をつけて下さるのだからありがたい。ぜひご一読を!=末尾にPDFを添付)「ソムリエの会はパワポを使ってわかりやすい講演をする、これを当会のウリにしたかったのです!」と。

20190908_02.jpg

「大事なことは、すべてパワポ画面に箇条書きで書いてあるので、思い出しながらしゃべります。大事なことは赤字にしているいるので、見逃しません」「つまり、パワポはお客さんが気づかないカンニングペーパー!これが原稿なしで話せる仕掛けです。講師の強〜い味方なんですよ」と種あかしをしてくれました。

講演の3要素は「知識」「話術」「パワポ制作技術」だそうで、「当会の合い言葉は『インプットよりアウトプット!』。単なるインプット(知識の習得)は冥土の土産ですが、アウトプットを目的としたインプットは大事です」と。「知識は本やテレビで仕入れます。話術は回を重ねることで、次第に上達します。習うより慣れろです」とおっしゃっていました。

そして「画面は4の倍数で」「『!』マークは役に立つ」「画面は急いで変えないで。1画面につき2〜3分かけないと、お客さんは理解できない」「パワポ資料は途中で方針転換しても、それは消さずに置いておくこと。あとでまた使いたくなりますから」等々話されました。

また、初心者の方たちにも気が楽になるように「パワポの上映には失敗がついてまわります。たいがいどこかでつまずく。でももし画面が映らなくても、あらかじめ画面のプリントアウトを配布しておけば、紙だけで話ができるのです」と言われました。
また写真が得意でない人は、「真正面」から「広く」撮ることを強調されていました。

20190908_03.jpg

事前準備
「講演の善し悪しは、準備で『9割』が決まる!」と言われ、「よくわかりました」「とても面白かったです」が最大の誉め言葉。「勉強になりました」は往々にして「難しすぎた」ということだそうです。無料でダウンロードできる写真などを使ってはめ込むと、画面が柔らかい感じになるそうです。良い解説者はポイントを絞っていて、やはりお手本は林修氏や池上彰氏!

(そして何やらごそごそと、まるでドラえもんポケットから出てきたかのように小道具が次々に登場します)

植木鉢の受け皿(100円均一)は、纒向遺跡の太い柱(30p)と細い柱(15p)の大きさを説明する時のイメージに。「真田丸」の講演に登場した鉄田専務理事のふるさと九度山の真田紐は「ものすごく強いんですよ」とか。高野山の町石をかたどった陶器の文鎮(お母様の手作りだとか!)や、平城宮跡出土木簡のレプリカも出てきます。

また卑弥呼の話では、小さな小さな倭王の印(金印と同じ大きさの積み木)。そして卑弥呼の居館の話の演出に使われたのが…「これが出てきたら、確実にここが卑弥呼の居館跡です!」と「『卑弥呼』と書かれた表札〜!」(これには皆さん爆笑でした)
他にも、無料でもらえるパンフレット(『なら記紀万葉・名所図会』の冊子など)は、参考資料にもなるし、お土産に渡すと喜ばれますと紹介されました。

20190908_04.jpg

講演当日の心構え
服装(スーツにこだわらない)や持ち物(レーザーポインタや指し棒は、持参すると安心!)、立ち位置を工夫して「お客さんにお尻を見せないように」というお話。また、「座らずに、できるだけ立って話す」「スクリーンではなくお客さんを見て話す」「途中でトイレ休憩を入れると流れを変えられる」「思いつきで話を挿入するとすとたいてい失敗する」や「『エネルギーボール』(両手に大きなボールを持つようなポーズ)は効果的ですよ」「林修先生の『今でしょ!』のポーズです」などどれもこれも大事なことばかりです。
(皆さんは話に乗り遅れないようにと、真剣なまなざしで耳を傾けていらっしゃいました。)

20190908_05.jpg

その他の注意事項
お客さんに女性が多いと「場」は和むらしく、「おっちゃんは笑わない。『絶対笑うものか!』みたいな人もいます」(笑)「だから、そんなの気にしないで」と。そして大切なのは「自分が話したい」ことより、「お客さんが何を望んでいるか、よく考えて講演テーマを選ぶ」ということだそうです。

良い講師とは
「自分が話せる得意分野を掘り下げて下さい」と言われ、「話し方(話術)は人それぞれ、見本はあっても手本はない!」ということでした。(なるほど!)

著作権、肖像権に関する注意事項
昨年、ある旅行会社のツアーでの他団体のトラブルを紹介され、著作権、肖像権に関する意識を持つことの大切さをお話しされました。そして、画像のフリー素材サイトやパワポデータの圧縮方法なども教えて下さいました。(詳しくは資料をご参照下さい)

20190908_06.jpg

第2部「かるたでわかる!御所・葛城」−鉄田専務理事の講演デモ‐

御所・葛城は、歴史が深すぎて理解するのは難しいということで、地元から「一般市民にわかるやさしい話をしてほしい」という要望が入ります。そこで、「これは『かるた』を使ってやろう!」と思いつかれたとか。(実は、鉄田専務理事、小学3年生の時に毎日友だちと社会科カルタをしていたそうで、覚えた内容を「今でも話せます。」と披露してくれました。)

そして御所・葛城のポイントを当会の『奈良まほろばかるた』から読み札7枚に絞ってわかりやすく講演されました。また、「付属資料をつける」という隠し技も教えていただきました(時間が余った時にすごく役に立つとか)。御所の話では必須の「葛城氏」の話は難しくなるので、今回は付属資料に回し、「興味のある方はお読みください」と。

誰にでも理解できるようにと、おしみなく知識、情報を発信して下さる鉄田専務理事。本当にありがたいです。今回の講演も内容が濃いのに簡潔にまとめて下さり、あっという間に時間が過ぎていきました。そして、参加者の皆さんは、最後まで集中力を切らさずに食い入るように聞かれていました。(ということは、講師の卵がいっぱい!頼もしいです〜(^^))

20190908_07.jpg

第3部「古代国家の成立」−講演予行演習−

当会啓発グループの藤永泰雄さんが予行演習として、「古代国家の成立〜継体から天武、律令国家への道〜」を講演されました。初めての講演で、時間配分も苦心して緊張されたようですが、笑顔を絶やさずに和やかにお話されていました。

20190908_08.jpg

鉄田専務理事や当会顧問の木村三彦さんから「知っていることを全部話すのではなく、ポイントを絞るといいです」「これと決めたものを深く学んでいくと、もっと良くなりますよ」等とアドバイスを受け、参加者の皆さんも自分のことのようにうなずいておられました。

20190908_09.jpg

奈良まほろばソムリエの会は、自分の得意分野を深く掘り下げて勉強して、それをみんなと共有し、高め合って(まさにお互いに「啓発!」しあって)会員同士がつながっていく。そして、奈良の魅力をもっと他の人に知ってもらう。そこが素晴らしくて、「地域再生大賞」優秀賞(2017年)をいただいたのだろうなと思いました。そして、知識・経験豊富な先輩方がたくさんいらっしゃる当会には、どこを向いても先生がいっぱい!新しい会員さんも増えて、学ぶ面白さ、わかる嬉しさ、伝える楽しさ、伝わる喜びが、これからももっともっと増えていくといいなと思いました。

当日のパワーポイント資料


文:広報グループ 増田優子 写真:大山恵功理事、鉄田専務理事
   
posted by 奈良まほろばソムリエ at 09:16| Comment(0) | 啓発G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする