2020年02月09日

保山耕一さん 第8回「奈良、時の雫」上映会

令和2年2月1日(土)、保山耕一さん月イチ上映会・テーマ「大和の冬」が、奈良公園バスターミナルで開催されました。新型肺炎の影響で、奈良公園も歩く人はまばら。外国人観光客がまだ少なかった頃の静かな冬の奈良を思い出し、そんな中の開催でした。

まずは、月イチ上映会支配人をさせられている(笑)という清水真貴さんが、満席の会場を見て、涙ぐみそうになって「こんなご時世の中、たくさんの方に来ていただいて本当にありがとうございます!皆さんの大きな気持ちが上映会を支えています。」とご挨拶。

続いて、当会理事の松森重博さんが、最近の保山さんのYou tube・水仙の映像を見て詠んだ一首。「水仙が 水のしずくに 映りたり 奈良般若寺の 大寒の頃」を披露されました。松森さんの歌集『大和まほろば』は今やベストセラーになっていて、今回から松森さんの短歌のコーナーも始まりました。

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次は、恒例の竹田奈良公園室長の奈良公園ワンポイント講座。今月はもうすぐ開催される「しあわせ回廊・なら瑠璃絵」でした。

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そして、今回の「奈良百寺巡礼」は、王龍寺!
飯野顕志副住職と当会副理事長の小野哲朗さんのご対談。まずは映像から。

―   映像   王龍寺  ―

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小野さんは「二名から西の丘を登るとゴルフ場、その先に山門があって、その前に『葷酒(くんしゅ)山門に入らず」(匂いの強い物を食べた人やお酒を飲んだ人はここから先に入ってはいけません)と石に書いてあるんです。そして鬱蒼とした森、しかしそこを過ぎて青空を見上げると心が大きく感じます。苔むした石畳や石段、前掛けのお地蔵様など、自然を楽しみながら歩くと本堂の甍が見えて来るんです。」とおっしゃっていました。

また「王龍寺の魅力はね、住職さんが毎朝境内の植物や花の芽吹きを撮影してHPに載せてくれているんですよ」「一番すごいと思ったのは、本堂まで上がると樹齢300年以上のヤマモモの大木(奈良県の保護樹木・奈良市の文化財)があって、今も元気に葉っぱを出しておるんです。」等々お話されました。

そして、飯野副住職は、ご本尊の石仏(摩崖仏でこちらは年紀がわかる石仏としてたいへん貴重)の十一面観音菩薩様(南北朝・建武3年)や十八羅漢さんのこと、聖武天皇の勅願による古刹、江戸時代に禅宗黄檗宗になったことなどを歴史と共に説明して下さいました。

また、王龍寺では、毎月第3日曜 早朝7時〜8時に座禅が行われています。
(こちらは座禅のスペースに限りがあるので、HPから予約して下さいとのこと)
副住職は「夏は本堂の羅漢さんの前で、冬は座敷で行います。わざわざしんどいことをするのではなく、座禅は座禅で楽しむかたちでするといいのかな」と温かくおっしゃっていました。

それから、実は王龍寺のレプリカが近鉄奈良駅5階のクラブツーリズムにあるんですよ。副住職は「実物の方がいいと思います。オーラが違いますよ(笑)」と。(そりゃそうですよね。でも一度見られるのもお薦めされていました。)

そして、ガラリと変わって

―   映像   奈良には365の季節がある   ―

いきなり 雷!流れる雲!細く美しい有明の月!鐘の音!……01 02 03 04 05……次々に映り変わる奈良の素晴らしい景色が、刻一刻と刻まれ、ビートの効いた音楽や「ラセラー ラセラー ラセ ラセ ラセラー!」の掛け声などとともに心に響き渡ります。

思わずじっと見入ってしまい、息をするのも忘れてしまうくらい!
そして寧鼓座座長・浅野重兵衛さんの和太鼓、生演奏!こちらの連打も迫力満点でした。

なんとも贅沢で貴重なひとときで、会場の皆さんは釘付けになっておられました。(保山さんの映像をもう一度見たい!行けなかったから見てみたい!という方、保山さんはYou tubeで発信してくれています)

そしてここからは、ならどっとFM「岡本彰夫の奈良 奥の奥」の公開収録。

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今回のゲストは、吉野杉の木でギター等を作って活動されている丸山手工ギター工房の丸山利仁さん、そのギターで演奏される稲川雅之さん。トークあり、演奏あり。地産地消の素敵な音色に魅了されました。

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そして、春日大社元権宮司の岡本先生が今回対談されたのは、吉野・金峯山寺の田中利典(りてん)長臈(ちょうろう)。初めに、田中長臈の発案で「疫病退散」のために会場内300名の皆さんで般若心経を唱えました。

その後、金峯山寺護摩焚き映像30分の間、お二人の「神と仏」のたいへん興味深いお話がありました。岡本先生は「私らとても仲がいいんですよ!」と会場の笑いを誘っておられました。詳しくは、ならどっとFM「岡本彰夫の奈良 奥の奥」をぜひお楽しみ下さい。


〈  二 部     保山さんの映像 と その解説   〉

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まずは、保山さん「映像が負けてるって思うくらい素晴らしい」と作曲家でピアニストの加古隆さんのことを絶賛されます。

「こういう強い曲があるからこそ、カメラマンは『よし、負けないぞ!』って映像を撮るんです。」「カメラマンにとって、音楽ってそういうものなんです。『あの曲に負けないもっと強いメッセージでその曲と響き合えたらすごいやろなぁ!』って自分の中でワクワクするんです。でもなかなかうまくいかなくて…」

「優秀な作曲家ほど、カメラマンを挑発します。なんとかギリギリにバランスが取れた時、カメラマンにはこれ以上の喜びはないんです」とおっしゃっていました。

―  宇陀 竜王ヶ淵の雪景色  ピアノ:加古隆さん、歌:森麻希さん ―

「こういう映像見たら、『寒くてたいへんやったん違いますか?』ってよく言われるんですが…あのガンという病気をしてから、何が変わったかって『こんな寒い中で、撮影できるってどれだけ幸せか』って思うんです。」と…。

「それまでは寒い暑いに不満を持っていたけれど、暑い時に汗流して『暑い暑い』って言いながら撮影できることがどれだけ幸せかって思います。」「入院が長くて、東京の病院だったんですが、景色がすごくきれいでした。」

「東京タワーやディズニーランド、お台場のベイブリッジが窓から見れるところで入院していました。どんどん季節が変わって、夏の入道雲、公園の木々が紅葉して、そしてだんだん散っていく…。すごく大きな窓があるんですが、5cmしか開かない、それは自殺をしないようにということで…。そういうところで、何か月もの入院でした。きれいな景色でした。」

「病院の中って、空調が効いているので暑くも寒くもなくて、でも景色が変わっていく。
夏なのに暑くない。冬なのに寒くない。で、そういう時にどうしたのかって言うと…
そのちっちゃな隙間から、手を伸ばして風を感じるんです。そういう経験を一度すると本当にその季節の中で自分がこうやって生きててやりたいことやれて、どれだけ特別なことかって今、かみしめています。」

「退院した時に、いつも窓の向こうに見ていた公園を初めて歩いてみたんです。そこは、一面に落ち葉が敷き詰められていて、ザッザッザッザッって音を立てて。その音が一生忘れられなくて、『生きてるな』って実感した音でした。」と…。

そして保山さんがその時に、ふと思われたのが「お金持ちになりたいとか自分の幸せのことではなくて、死ぬまでにピアノが弾きたいな」って(保山さんピアノは初めてらしいです)。そしてピアノを教えてもらったのが「かおりん」ことすみかおりさんでした。

「今日は水仙の映像をやります。今週、ならナビ『やまとの季節 七十二候』を見た人いらっしゃいますか? わぁそんなにいてはるんや! メチャ嬉しいですわ。」っておっしゃって、ならナビ1分30秒のフルバージョンを見せて下さることに。

「朝イチから日の暮れる真っ暗な時までそこにいる。そんな撮影をしています。」
「でもね、ある程度その場所にいたら『おまえ、これ撮らんでええんか?』って言うてくるんですよ」って。

「で、そんな時にレンズを向けたら『あーお前が見てもらいたいのはこれか!』というふうに。その時初めて風景と話ができるんです。風景も人のつきあいも一緒です。」と。

― 映像  田原本町 寺川の水仙(フルバージョン、すみかおりさんの演奏)―

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「僕が入院していたのは、東京有明の一番大きなガンの病院、末期ガンの人ばかりです」7月大きな七夕飾りの短冊にすごい数の願い事がつるされるそうです。

「初めてそれを見た時にいくつか読んで見たんですけど、つらくて…。その中にあるお母さんのがあって『私が死んでもパパと○○ちゃんが仲良く過ごせますように』って。
余命宣告されたお母さんでしょうが、病気が治りますようになんて書いてあるのはほとんどないんです。みんな自分のことじゃなくて自分以外の人を願うことばかり。結局最後には、大切な人、家族や友達の幸せを祈ることしかなくて。それが忘れられなくて、ずっとあります。」とおっしゃっていました。

退院して、帰って来た時も、毎日春日大社に通ったそうで、その時も自分の願い事をしようと思ったのではなかったそうです。でもそこである気づきが・・・

保山さん「自分よりも他の人のことを思う気持ちで生きてきたからこそ、自分の置かれている環境がどんどん変わっていって、それが心と体に反映して自分の命を与えられたのかなぁ」と。「自分は何のために生きているのかっていうその根元!人のために生きている!ていう気づきがあったんです。」と話してくれました。

春日大社では、1月31日より毎朝9時から新型肺炎の御祈祷を始められました。「なんか科学では説明できないことが世の中にはたくさんあって。仏教も同じで、先ほど般若心経を皆で唱えることによって、何も変わらないはずがない、何か絶対変わっていく。」そう言われていました。

また、夜中、雪が降って朝イチで飛火野へ行った時の話。
飛火野が一面真っ白で、撮ろうと思ったら、有名アーティストのヒップホップのメンバー達が真冬というのに半ズボンを履いてワイワイとやって来て・・・

保山さんいわく「『申し訳ないけど、5分だけ僕に時間を下さい』って言ったら、
ヒップホップのメンバーの一人が『この真っ白な空間に足跡を残せるのって、奈良では鹿だけだよね!』なんて、かっこええこと言うたんです(笑)」と。

その上、彼らは飛火野の真ん中を歩かずに、ずーっと端っこを通って帰っていったそうです。「な〜んか教えられましたね。僕はわかってるつもりで、わかってないというか…なんかそういうところなんですよ。人間にとって大事なところは。カメラマンだとまずそれを捨てなければやっていけなかった。でもそこは人間として捨てては駄目なんやということをヒップホップの彼らに教えられました」と。

―  映像  春日大社    ピアノ:野上朝生  ―

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保山さんは「病気の方もいろんなつらいことがある方も、困った時の神頼みで神社や春日さんにお祈りに行かれると思いますが、そんな時こそ他の人のことを祈って下さい。」「僕の経験から言いますと、困っているからこそどん底やからこそ、人の幸せ、大切な人の幸せを願っていただくことが、自分を変えるひとつのきっかけになると思うんです。病気の人もつらいことがあれば、いろんな気づきがあると思うんです。いろんな困りごとで悩んでいる人、病気の方、春日さんへお参りに行ったらどうかな」と。

「いろんなところで聞かれるので、この機会に答えました」とおっしゃっていました。

そして、来月3月7日の上映会は、グランドピアノが入ります!
「ずっとやりたかった!がんの病院で生ピアノでロビーコンサートした時、生の音に涙が止まりませんでした。いい意味での涙です。『人の心の奥に届くというのは、こういうことなんだ』と。そういうのをここでもやりたいと思って、その時の想いを僕の映像とともに皆さんの心の奥に届けたい!」と熱く語ってくれました。

空港ピアノのような、バスターミナルピアノも一日設置されるそうで「そちらも楽しんでいただけたら」と。「ピアノ、ベンツ保有率一番の奈良県だからこそのピアノとのつながり。もし余っているピアノがあればここに寄贈してください」ともおっしゃっていました。

最後は鹿の映像の解説です。
「あなたに、ほんの少しの時間があれば、餌付けをしなくても美しい風景の写真は撮れます。鹿をねらって撮りにいったんじゃないんです。いい景色やなぁと思って、ずっとそこにいたら、スーッと鹿が寄ってきてくれます。」

「飛火野の御手洗川(みたらしがわ)(ずっと水が流れていなかったそうで)、川に水が流れてメチャクチャ嬉しかった。僕は春の小川を撮りたかったんです。」保山さんは奈良に春の小川はあるのかって探されたそうです。「コンクリートで固められているのは小川じゃない。里山ですら河川工事をしている。唯一探したのが、飛火野の御手洗川でした。川に水が流れるようになったら、鹿の動きが変わり、集まってくるようになったんです。」と教えてくれました。そして、最後に「自然な鹿を見ていただいて終わりにしたいです」と締め括られました。

―  映像   東大寺の鹿 ―
―  映像   飛火野の鹿 ―

今回も盛りだくさんの内容で、お客様はたっぷりと保山さんワールドを楽しまれていました。来月はいよいよ保山さん夢のグランドピアノがやってきます。予約チケットをお求めになる方も多く、ワクワクしながら楽しみに帰っていかれました。

写真:松森重博理事  文:広報G 増田優子




posted by 奈良まほろばソムリエ at 11:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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