2018年06月02日

大和神社〜天理観光農園へ

5月20(日)は女性グループ(ソムリエンヌ)の例会でした。強まる日差しに夏を思わせる薄暑の朝、JR長柄駅に10人が集合しました。今年新しくソムリエの会に入会したメンバー7名が初参加です。自己紹介を終えて、さぁスタート!大和(萱生)古墳群の一部を見学しながら天理観光農園までの約4.5キロのウォーキングです。

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大和古墳群は天理市南部の萱生町から中山町に所在する南北約1.5Kmの範囲に展開する古墳群で、西に鎮座する大和神社の宮郷である「大和郷」に重複して分布する事からこの呼称があるとのこと。古墳時代前期初頭〜前期前半を中心に、全長約230mを誇る群中最大の西殿塚古墳を筆頭にして様々な階層の古墳が集中、断続的に造営されています。古墳群中に前方後方墳が5基も含まれる点は、奈良盆地の前期古墳群に見られない大きな特徴です。

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星塚古墳・測量図

大和神社の北参道から墳丘の高まりを確認しました。全長70mの前方後方墳とされていますが、測量図を見ると2つの方形が連結しているような形状をしています。弥生時代後半の築造とされる岡山県の黒宮大塚古墳と墳形がよく似ていることから、最古級の古墳の可能性も。古墳成立にいたる過程を知る上でも貴重な古墳だと確認できました。

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大和神社

神殿は3社あり、大和大国魂神・八千戈神・御年神が祭られています。広い神域は清々しい空気に包まれ、鳥居から真っ直ぐ伸びた長い参道がとても美しい由緒ある古社です。太平洋戦争で沈んだ戦艦大和に、この神社の分霊が祀られたことでも有名です。本日のウォーキングの安全を祈願して大和神社をあとにしました。

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馬口山古墳

大和神社の北側あります。全長110mの前方後円墳ですが、民有地のため墳丘には農作物が植えられ生活空間になっています。墳丘から採取された特殊器台や埴輪の破片から時代がわかり、3世紀後半に築造された古墳時代初期の古いタイプのものです。大型前方後円墳出現期の古墳ですが、ほとんど知られていないのが残念です。

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ノムギ古墳・測量図

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測量図を見ると変わった形をしています。後世に大きく改変されたようです。昭和52年までは前方後円墳と考えられていましたが、平成8年、古墳の北側の調査でほぼ直角に曲がる周濠が検出された事で前方後方墳の可能性が高まりました。さらに平成21年と22年に調査を実施。後方部南側の周濠で東南の角が発見されたことで前方後方墳と断定されました。測量を見ながら、第1次〜第6次までの調査の成果を興味深く見学することが出来ました。

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ヒエ塚古墳(里道を挟んで、左が後円部、右が前方部)

県道を挟んでノムギ古墳の東側にある、全長約130mの前方後円墳です。こちらも墳丘は畑になっています。くびれ部には里道が横断しています。以前から中山大塚古墳や桜井市の箸墓古墳の初期前方後円墳と形が似ていると指摘されていました。第1次〜第3次までの調査の成果から、前方部が撥形であること、出土した土器の時代や埴輪が検出されていないことなどから築造時期は古墳時代前期前半とのこと。まだまだ断片的ですが、史跡指定を目指して調査が継続されるそうで、今後の成果が期待されます。

天理の古墳に別れを告げて、山辺の道に向かいます。

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夜都伎神社

春日大社と縁が深く、別名春日神社とも呼ばれる古社です。石燈籠にも「春日社」と刻まれています。また、春日明神に因んだ不思議な「鹿足跡石」伝説に興味が湧きました。実際に見学できるのでしょうか。いつか探索してみたいと思いました。

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ウォーキングの締め括りは天理観光農園でバーベキューです。冷たいビールやジュースで乾杯!美味しいお肉や新鮮な野菜に舌鼓をうちました。初めて参加された新人の方達とも自然に会話が弾みます。

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今回ガイド担当してくださった寺田さん、食材をご用意くださった松浦さん、差し入れを持って駆けつけてくださった西川さん、ご協力ありがとうございました。


女性グループ(ソムリエンヌ) 文 道ア美幸  写真 寺田麻美 道ア美幸



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2018年04月19日

ぶらり早春の佐保路

3月21日、ソムリエンヌ「早春の佐保路」…のはずでした。
ところが、前日から大雨、強風が続き、真冬の寒さ。
雨天決行にしたことを悔やみつつ、大判の傘をしっかり握って、集合場所の転害門へ。
転害門観光案内所の開館前にもかかわらず、快く中に入れていただき、予定通り13人全員集合しました。

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転害門(国宝)は切妻造、本瓦葺きの八脚門。平城京の東 京極大路に面し、南一条大路(佐保路)に向かって立っています。奈良時代の創建に始まり、幾度もの兵火をくぐり抜けて来た東大寺伽藍の往時を偲ばせる遺構のひとつです。また老朽化によって昭和35年の転害会を最後に引退した御鳳輦(ごほうれん)が58年ぶりに新調され、今年の転害会で御鳳輦渡御が復活するのだそうです。NPO法人なら・観光ボランティアガイドの会(朱雀)の方から興味深いお話を聞くことができました。

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若草中学校出身のメンバーを先頭に、皆さん同窓生のように校内へ。
中学校のある丘陵は眉間寺山と呼ばれ、かつて多聞城が建っていたところです。1560年松永久秀が建てたもので、山城中心の中世の城に対して、近世の平城の先駆けとなりました。四階の櫓を備えた壮大なもので、近世城郭をかざる多聞櫓は、この城に始まるとされます。
強風のおかげで春霞も吹き飛び、松永弾正に成り代わって、天下無双の野望に燃えたのでした。

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1日中雨の予報にも関わらず、多聞城跡に到着する頃には雨が上がり、なんと時おり晴れ間まで。女の執念恐るべし!?

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佐保川の清流ならぬ濁流を眺め、多聞町の古民家ショップや河瀬家住宅などを覗き見しながら、聖武・光明皇后陵へ。終生、聖武天皇への愛を貫いた光明皇后の姿に、我が身を省みたのは私だけ?

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ちてはこカフェの店主さんにも、ずいぶんお天気の心配をしていただきました。オープン時間を早めて11時から12時半まで貸切にしてくださり、店名どおりの、手と心のこもったランチとケーキを楽しみ、思い切りおしゃべりに花咲かせることができました。ありがとうございました。

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興福院の小堀遠州作のお庭を一目見られないものかと骨折りしてみましたが、ちょうどお彼岸に重なり願い叶わず、門前からしっとりとした尼寺の雰囲気だけを感じさせていただきました。

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歴史の道をたどり、吉村長慶さんの暖かみのある石造物群に思わず笑顔になり、狭岡神社へ。
メンバーの若い頃(数年前?)は荒れ果てていたそうですが、今はきれいに清掃され、ありがたいことに階段に手すりまで。佐保姫伝説にあやかり、恋愛成就を祈ったメンバーもいたとか?

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レンギョウの咲き誇る不退寺では、かわいいお顔に容姿端麗な聖観音さまにしばしうっとり。

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ウワナベ古墳、海龍王寺を横目に歩き、最後の目的地、法華寺に到着しました。こちらでも光明皇后写しの十一面観音を拝し、ソムリエンヌメンバーも美しさにますます磨きがかかったことと思います。

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法華寺の枝垂桜が、見事「早春の佐保路」のフィナーレを飾ってくれました。
気象予報士さんを青ざめさせた晴れ女ソムリエンヌの皆様、お疲れさまでした。

女性グループ(ソムリエンヌ) 文 大谷巳弥子  写真 道崎美幸 大谷巳弥子

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2018年01月27日

大和ハープの調べで寿ぐ新年会

1月20日(土)、女性グループ(ソムリエンヌ)14名の参加による新年会がありました。
今回は中部公民館で井藤和美先生の大和ハープの演奏会と登大路ホテルでの昼食会という新年会でした。

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(中部公民館にて)

大和ハープの演奏会は、昨年NHKテレビで放映された井藤先生の演奏を見た幾人かの会員の強い要望で実現されました。「星に願いを、テネシーワルツ、川の流れのように、月の砂漠、北の国から、糸・・・」と優しく美しいハープの音色が、心に沁みわたりました。

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(井藤和美先生による大和ハープの演奏)

奈良で生まれた大和ハープは、「河合町からハープを世界に」という思いで、伊藤忍さんが奈良の桜の花びらをイメージに制作されました。響鳴箱はローズウッド、上にあるネックという花びらの形の部分はマホガニー、弦の下の板はスプレースという材木を用いたアイリッシュハープです。6sという軽さの小型のもので、誰もが弾きたくなるようなハープです。井藤先生は、子供から年配者まで喜んでいただき、いろんな方々との出会いを大事にしていきたいとおっしゃっていました。

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(大和ハープ)

演奏のあと、ハープに触れる機会があり、皆笑顔いっぱいにつま弾くことができました。

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ハープの歴史は古く、ポンペイに残る壁画にも描かれており、中国では竪琴といわれ、日本にも伝わり、正倉院に残る箜篌(くご)も竪琴の一種です。ハープに親しむ新年会は心に残るもので、新春を寿ぐのに相応しいものでありました。

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(登大路ホテルThe・Diningにて)

演奏会が終わり、場所を登大路ホテルに移し昼食会があり、大和野菜や牛フィレ肉等を美味しくいただき、お開きとなりました。
    
(文) 平越真澄 (写真) 友松洋之子 寺田麻美 道ア美幸

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2017年08月31日

女性グループ(ソムリエンヌ)活動報告「2017年夏休み家族体験教室in新沢千塚古墳群」(2回目)

8月19日(土)、ソムリエの会と歴史に憩う橿原市博物館との共催企画「夏休み家族体験教室2017 古墳と土器でドキドキわくわく体験」2回目を実施しました。
参加者は26名。内、子供は12名。ソムリエンヌは5名、啓発グループから2名出席。土器復元、紙芝居・古墳散策は2班に分かれ、展示案内を合同で各40分。10時半から12時半まで行いました。

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<受付時の様子>

道崎理事が持ってきた古墳クッションは大人気で抱きしめたり、押したり、チャックを開けたりとにぎやかに受付が始まりました。

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<古墳クッション>

◇土器復元◇
今回は曲川遺跡と新堂遺跡から出土した土器を使用しました。
新堂遺跡は大型店舗建設のため平成28年5月から平成29年2月まで調査され、5世紀の河道から大量の須恵器が出土されたことで話題となった遺跡です。

始めはなかなか合わず「向いてないのかなぁ」なんて話していましたが、かけらはたくさんあって、袋を差し替えて根気よくチャレンジしました。

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<親子でW成功!>

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<くっつくかなぁ? どうかなぁ?>

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<接着剤塗布は慎重にやります>

◇紙芝居・古墳散策◇
「古墳ってな〜に?」「どんなかたちがあるの?」「古墳作りの様子」をパワーポイントでスライド6枚作成し、紙芝居仕立てで説明します。

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<1班の紙芝居風景>

2班の紙芝居実演では古墳の形を説明する場面で先に答えられてしまい、ソムリエンヌはたじたじでしたが、子供たちの積極的な姿勢でお互いの距離が近くなりました。

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<2班の紙芝居風景>

紙芝居の後は、学芸員さんによる古墳案内です。
南群は草が生い茂って歩行が困難と判断し、北群の126号墳に向かいました。

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<北群案内板前で説明>

126号墳は、東西約22m、南北約16m、高さ約1.5mの長方墳です。
透明なガラス椀、コバルトブルーのガラス皿、青銅製熨斗(アイロン)が出土したことで有名ですが、かけらも含めて全て国の重要文化財に指定されています。

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<126号墳の墳丘に上がります>

◇展示案内◇
学芸員さんより縄文時代から古墳時代を中心に人々はどんな生活をしていたのか、出土品を基に説明があったあと、思い思いに展示品を見て回りました。
土偶と埴輪の違いは?井戸枠の板はなぜ穴があるの?など話している内に、あっという間に時間がたちました。

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<展示品にくぎづけ>

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<記念にぱしゃ!>

心配していた熱中症になる人もなく皆元気で終えることができました。
子どもを対象にしたイベントとして企画・宣伝・紙芝居作成など手さぐり状態でしたが、古墳に興味がある参加者が多く、子どもたちも楽しみにしていたと聞くと、やってよかったなと思いました。
宿題代行ビジネス、ネット情報がありふれている中、子供たちが自分で体験し何かを感じ取ることができた一日だったのではないでしょうか?

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<参加者集合写真>

文:女性グループ 寺田麻美
写真:同 大谷巳弥子 寺田麻美

posted by 奈良まほろばソムリエ at 22:36| Comment(0) | 女性G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月15日

女性グループ(ソムリエンヌ)活動報告「2017年夏休み家族体験教室in新沢千塚古墳群」

7月30日(日)、歴史に憩う橿原市博物館との共催で子供を対象にしたイベント「古墳と土器でドキドキわくわく体験」一回目が行われました。

参加者は5組11名。ソムリエンヌからは6名、啓発グループからは3名の出席がありました。10時半開始、紙芝居・古墳散策→博物館展示案内→土器復元の順に各40分実施されました。

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<開催のあいさつ>

古墳ってなんだろう?どんな種類があるのかな?どうやって作るのかな?を紙芝居を使ってお話しします。

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<紙芝居>

お話し終了後、外に出て南群に向かいます。
南群には新沢千塚古墳群では珍しい横穴式石室・221号墳が復元されています。

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<復元古墳>

散策後、博物館に戻り学芸員さんによる展示品の案内がありました。
126号墳埋葬施設復元イメージコーナーでは、埋葬者は男性か女性か想像をふくらましていました。

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<展示室案内>

最後はメインイベントの土器復元体験です。
その前に本物の土器を持たせてもらいました。思ったより重いのでびっくりです。

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<土器ふれあい1>

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<土器ふれあい2>

土器くっつけ体験は、復元された土器をバラバラにしてまたくっつけるのではなく、同じ遺跡内から出土したたくさんの破片の中から、色・模様を見て元の土器がどんな形か?大きさはどれくらいか?をイメージしながら合うものを探していきます。
今回の復元は橿原市曲川遺跡で出土したかけらを使います。
小さいですが、全て文化財です。

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<家族で共同作業>

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<くっついた!!>

組み合わさった瞬間は拍手が起こります。
今日はあちこちで歓声があがりました。
くっついたら市販の接着剤を付けクリップで固定します。

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<復元成功例>

テーブルいっぱいのかけらがあっても、なかなか合わせることが出来ない日もあるそうですが、今日は参加者全員組み合わせることができた‘大収穫’の日でした。

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<記念撮影>

各工程終了後には参加証にシールを貼っていきました。3つ終わると最後にソムリエの会のロゴマーク入りシールを貼り完成です。紙芝居と共に今イベントのソムリエンヌオリジナルです。

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<参加証7月30日>

8月19日(土)には、「古墳と土器でドキドキわくわく体験」二回目が行われます。
この体験が夏休みの思い出の1つになり、考古学に興味を持つきっかけになれば良いなと話しながら定刻の12時半に終了しました。

文: 女性グループ 寺田麻美
写真: 同 寺田麻美 道崎美幸

posted by 奈良まほろばソムリエ at 16:28| Comment(0) | 女性G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする